ジョルジュ・ブラック展絵画から立体への変容 ―メタモルフォーシス

展覧会のみどころ

ジョルジュ・ブラック晩年の境地「メタモルフォーシス」シリーズを日本で初めて本格的に展示

これまで日本ではほとんど紹介されてこなかった、ブラックが晩年に取り組んだ一連の作品群がまとまった形で来日します。絵画作品を含めておよそ90点が一堂に会します。

ブラックの立体への挑戦を、煌びやかなジュエリーや美麗なガラス彫刻などを通して紹介

ブラックが自然の美しさに惹かれ、素材としての貴石や貴金属に魅了されたために制作された、とも言われるジュエリー作品に加え、ガラス彫刻、陶磁器、タピスリー、ステンド・グラス他、様々な形態に変化した作品に出合えます。

キュビスム時代の油彩を含む絵画、グワッシュ、版画など平面作品も出品

貴重なブラックのキュビスム絵画《静物》が出品されるほか、初期のグワッシュ画《モンソー公園》、そして絶筆といわれる《青い鳥、ピカソへのオマージュ》も登場します。

序章

ジョルジュ・ブラックの画業の重要な変遷をたどるため、少数ながら精選された絵画作品を展覧会冒頭でご紹介します。
1900年、ブラック18歳の頃描かれた《モンソー公園》は現存するブラックの最初の作品といわれているものです。またストラスブール近現代美術館から出品される分析的キュビスムの絵画《静物》のほか、20年代、40年代の作品が並びます。

第1章:メタモルフォーシス 平面

ブラックが1961年から1963年に取り組んだ「メタモルフォーシス」の制作活動の根幹である平面作品をご紹介。
ここに並ぶ一連のグワッシュ画は、その後にさまざまな立体作品が作り出される下絵となり、晩年のブラックによって凝縮したエネルギーを込められた、最も躍動的な作品群です。本章には、ブラックの絶筆とされる《青い鳥、ピカソへのオマージュ》も含まれています。
さらに、これらのグワッシュ作品から派生した版画などが加わります。

《青い鳥、ピカソへのオマージュ》 
1963年 グワッシュ
サン=ディエ=デ=ヴォージュ市立 ジョルジュ・ブラック‐メタモルフォーシス美術館蔵

2章:メタモルフォーシス 陶磁器

《ペリアスとネレウス》、《ペルセポネ》など「メタモルフォーシス」の主要なモチーフが皿、ピッチャー、壺など陶磁器作品に変容して登場します。金を効果的に使用した装飾的な塑像もまた本章に配されます。
ブラックの空間と立体へのあくなき関心の証明がこれらの陶磁器といえるでしょう。
かつての盟友ピカソと同様に、この晩年の取り組みでは、様々な素材による立体作品と共鳴するように自在で多彩な造形を生み出しています。

《ペルセポネ》 
1961−63年 陶器
サン=ディエ=デ=ヴォージュ市立 ジョルジュ・ブラック‐メタモルフォーシス美術館蔵

3章:メタモルフォーシス ジュエリー

ジュエリークリエイターのエゲル・ド・ルレンフェルドと共同してつくり出されたジュエリーが登場します。本展のハイライトかつ「メタモルフォーシス」シリーズの最も重要な作品群の紹介です。1961年に、ブラックがド・ルレンフェルドに依頼したことに始まる二人の壮大な創作は、ブラックにとって重要なモチーフであるギリシャ神話の女神の頭部の図版を、より完全な造形物とするために、走り出したのです。平面を三次元で取り扱い、視覚による幸福をさらに触覚の幸福によって補いたいという要望が巨匠画家にありました。
ブラックの絵が貴石と貴金属によって立体に変容したさまを目にした、フランス文化大臣のアンドレ・マルローはこれらを「ブラック芸術の最高峰」と讃え、1963年、パリ装飾美術館での「ブラック・ジュエリー展」開催へと導きました。

《トリプトレモス》
1961-63年ブローチ(18金とルビー)
サン=ディエ=デ=ヴォージュ市立 ジョルジュ・ブラック-メタモルフォーシス美術館蔵

4章:メタモルフォーシス 彫刻

二次元作品を三次元に変容させるブラックの情熱は、ジュエリーのみならず彫刻にも及びます。陶磁器やジュエリーにもみられるモチーフを、改めて彫刻にも用いて、素材と形態の組み合わせを変えながら永遠の命を与えようと試みています。金属や鉱石、ガラスなど多様な素材によって立体へ変化することで、元の平面作品で表現された形の繊細さはそのままに、輪郭や外観の力強さが加えられていきます。アメジストを使用した《グラウコス》やドーム工房によるガラス彫刻《セファレ》からは、ブラックの造形と素材の特質の見事な調和によって、画家が望んだ完成された美の姿を見ることができます。

《グラウコス》 
1961−63年彫刻(ブロンズとアメジスト)
サン=ディエ=デ=ヴォージュ市立 ジョルジュ・ブラック‐メタモルフォーシス美術館蔵

5章:メタモルフォーシス 室内

装飾少年時代、家業を継いで装飾画家としての修行を積んだブラックは、折にふれ室内を飾るパネルを制作するほか、タピスリーやモザイク などにも強く惹かれ、職人と共同で作品制作を行っていました。
本展では「メタモルフォーシス」の重要なモチーフであるギリシャの神が取り上げられた装飾 パネル、モザイク、タピスリーが出品されます。また、フランス語で「ゲマイユ」といわれる、貴石とステンド・グラスの 両方の意味を持たせた特別な呼称の、極めて美しい色彩のステンド・グラス作品も登場します。
純粋美術のみならず装飾美術にまで及んだ、 ブラック晩年の挑戦をご覧頂けます。

《小さなビリヤード台》 
1955−58年 ステンド・グラス
サン=ディエ=デ=ヴォージュ市立 ジョルジュ・ブラック‐メタモルフォーシス美術館蔵