悩みの果てぬ古き場末で(『ミセレーレ』)

au vieux faubourg des longues peines from Miserere

1923年 銅版に、エリオグラヴュール、シュガー・アクアティント、 アクアティント、バーニッシャードライポイント、スクレイパー他、紙

ルオーが41歳から56歳に至るまでの15年間にわたり制作された版画集「ミセレーレ」の中の一点。本版画集は1912年の父の死を契機に着想を得、第一次世界大戦を経て次第に成熟していった。素朴な父の死と大量虐殺という戦争に対する激しい憤慨が色濃く反映している。計58点の作品の主題には人間が置かれている生と死の現実を過酷なまでに直視する画家の姿勢がある。日々の労働にうちひしがれ、孤独に流離う人々、社会の不例や腐敗する権力者、道化師や娼婦たち、そして何よりも人間の愚かさを露呈する戦争の悲劇。画家はそれらを表すために敢えて黒という色彩を選んだ。ここに見られる銅版画の技法は多様で、微妙なニュアンスによる霊的な光が見事に描出されている。1927年に完成するが、出版されたのは1948年で最初の構想から36年ぶりのことだった。