京都の伝統工芸後継者によるクリエイティブユニット「GO ON」とPanasonic Designとのコラボレーションによる、未来の家電、クラフトの在り方を探求した研究開発活動。それが、Kyoto KADEN Lab.だ。
一方は、代々受け継がれた技巧で、人々のくらしを彩る生活用品を創る。また一方は、家電製品の開発により、便利で快適なくらしを人々へ提供する。手作りと量産、一個人と企業デザイナーという対照的な両者だが、生活の中にあるモノを通じて、人々の「くらし」を向上させたいというフィロソフィーは合致している。
日々のくらしはもちろん、生き方にまで。ますます多様性が加速していくこれからの社会において、「未来のくらし」とは何か。Kyoto KADEN Lab.では、単なる研究活動に終わらず、従来のクラフト、家電という枠組みを超えて、お互いのデザイナーが新たな価値創出に取り組んでいる。
日本の伝統工芸が持つ美意識やモノづくりの原点を探り、その素材や技巧をテクノロジーと融合させ、「食と音楽」をテーマに、人々の記憶や五感に響く10組のプロトタイプを作成した。
心あるもの
2016年10月、京町家でエキジビション「TEXTURE」が開催された。
GO ON × Panasonic Designは、日本の「心」に最新のテクノロジーを忍ばせた10組のプロトタイプを、未来の豊かな暮らしを支えるものとして提示。訪れた人々へ、豊かさとは何かを改めて問いかけた。
「日本のデザイン、モノづくり」の可能性を世界へ
さらに2017年4月ミラノサローネ2017に「Electronics Meets Crafts:」のコンセプトのもと出展。「流れるようなストーリー性を持ち、優れた伝統工芸に詰め込まれた先進技術が融合した新しいクラフト家電の提案」であると評価され、
『Milano Design Award 2017』において「Best Storytelling賞」を受賞した。
家電が再び人々の心を動かすために
便利や快適さだけではない、家電が再び人々の心を動かすために。
「この国の美意識や感性、文化の中にこそ、家電やクラフトの未来が潜んでいるのかもしれない」そのような想いを抱きながら、デザイナーと職人、エレクトロニクスと工芸はひとつとなり、未来に繋がっていくことを表現したいと考えた。
そして、「人々の記憶や五感を大切にする暮らしこそ、ひとつの豊かさである」というメッセージを込められたデザインが生まれた。
これからも、京都を舞台とするさまざまなクリエイティブ活動を通して、これからの豊かさと、日本ならではの家電の可能性は探求されていく。