ユーザー視点で
出帰国手続のプロセス全体を
徹底的にデザインした、
顔認証ゲート

顔認証ゲートの写真

観光立国の実現に向け訪日外国人の目標数は2020 年に4000 万人、2030 年に6000 万人と設定されている。これから増大していく空港業務をパンクさせないための対策のひとつが顔認証ゲートだ。パナソニックは家電を中心にお客さまの暮らしを見つめてきたというDNA を活かして、今までにない「使いやすい」顔認証ゲートを開発した。

空港内を旅行者が歩いている写真

「使いやすさ」という新しい基準をつくる

出帰国手続において求められるのは「円滑」かつ「厳格」な審査。パナソニックは営業や技術者に加え、デザイナーもヒアリングに参加。プロダクトデザインの観点から見ると、幅広い年齢の人々が利用するゲートにも関わらず、厳格さにこだわるあまり、使いやすさに焦点が当てられてこなかったことに気がついた。顔認証の精度は、もちろん重要。だが、円滑な審査のためには、審査官と利用者がスムーズに使えることもまた必須である。お客さま第一で「使いやすさ」に焦点を当てた開発アプローチは、出帰国を管理する法務省にとって画期的なもの。パナソニックと法務省がともに手を組み新たなゲートの開発に取り組んだ。

空港内で旅行者が順番待ちをしている写真

行動調査を試みることで、見過ごしていた課題が浮かびあがった

使いやすさを目指す開発の過程で、初めての試みとして、運用中の指紋認証ゲートでの行動観察調査を実施した。徹底的な調査の結果、ゲートの通過に時間がかかりすぎる人や、ついには通過すらできずに係員に有人ゲートへ誘導されている人たちがいた。年齢があがるにつけゲート利用は困難になり、若い人よりも高齢者の方がゲート通過を果たせない人が多かった。この事実は大きな気づきになった。「高齢者の使いやすさを叶えれば、すべての人に使いやすいシステムになるはずだ」。それが私たちのミッションになった。

顔認証ゲートのプロトタイプでユーザーテストをしている写真

高齢者がスムーズに通過できるデザインをめざす

利用者に顔認証ゲートを通過してもらうにあたり、私たちは「ゲートへの誘導」→「ゲート内動線」→「ゲート内操作」→「顔認証」を経て「通過」というすべてのステップをゼロからデザインする必要があった。各段階を事細かに検証し、機械操作が苦手な高齢者がスムーズに通過していけるようなデザインを追求した。

自然に認証が終わるデザイン【ゲート内操作、顔認証、通過】

パスポートの置き場所は、一目で分かりやすいデザインに。パスポート認証を終えると、知らず知らずに顔認証へ。顔認証をおこなうカメラは利用者の視線移動を最小にして、迷わず素早くゲートを通過できるようモニターの裏に設置した。自然にモニターの説明を見ている間に顔認証が完了する仕組みだ。
このモニターは自分の顔を写す鏡にもなっており、無意識にカメラを見続けるよう工夫がなされている。顔認証の心臓部であるこのモニターとカメラの構造は、実際に高齢者にウエアラブルカメラをつけてもらい視線移動をモニタリングして、何度も検証を重ねた。そうして開発したのが「ゲート内操作」から「顔認証」まで迷わずスムーズに完了するゲートだ。

顔認証ゲート ゲート誘導のサインの写真

ゲートの親しみやすさをデザイン【ゲートへの誘導】

遠くからでもわかる大きなゲート誘導サインとともに、順番を待つ間に操作を事前学習できるインフォメーションを設けた。ゲート自体もミルク色のやさしいカラーリングに丸みを帯びた造形で、利用者に「難しくなさそう」と思ってもらう心理的ハードルを下げるデザインを心がけた。

顔認証ゲート ゲート内動線を解説した写真

自然に認証が終わるデザイン【ゲート内操作、顔認証、通過】

パスポートの置き場所は、一目で分かりやすいデザインに。パスポート認証を終えると、知らず知らずに顔認証へ。顔認証をおこなうカメラは利用者の視線移動を最小にして、迷わず素早くゲートを通過できるようモニターの裏に設置した。自然にモニターの説明を見ている間に顔認証が完了する仕組みだ。
このモニターは自分の顔を写す鏡にもなっており、無意識にカメラを見続けるよう工夫がなされている。顔認証の心臓部であるこのモニターとカメラの構造は、実際に高齢者にウエアラブルカメラをつけてもらい視線移動をモニタリングして、何度も検証を重ねた。そうして開発したのが「ゲート内操作」から「顔認証」まで迷わずスムーズに完了するゲートだ。

顔認証ゲート 顔認証検証中の写真

家電のDNA が、日本の空の玄関をアップデートした

100年にわたり、人々の暮らしを見つめてきたパナソニック。家電事業で培ってきたお客さま視点の発想と、技術やデザインの力が、その領域を越え日本の空の玄関に安心と安全を叶えた。この事例をイノベーションの原動力にして、世の中のあらゆる領域へ、世界中のあらゆる場面へ、これからも新しい価値を創造していく。