デザインで導くカーモビリティの未来

写真:カーインテリア

パナソニックデザインは、家電や住空間で培った知識と知恵を活かし、その活動領域を広げてきている。モビリティに対するデザイン提案もその一つだ。いくつものデザインコンセプトを通して、カーモビリティの未来を各国の展示会で発信し続けている。

空間に驚きを"Autonomous living Space Cabin"

2018年のCESではデザインが主導した完全自動運転のコンセプトを公開した。

コンセプトは移動するための空間ではなく、未来のリビングスペースとしてさまざまな価値ある体験を提供する"Autonomous Living Space Cabin"。

そのコンセプトをベースに4つの車内環境をデザインした。家族コミュニケーションのための"Family"、エンタメを楽しむための"Entertainment"、ゆっくり休息するために"Relaxation"、ひとりの時間を大切にするための"Private"だ。

  • 写真:カーインテリアと透明ディスプレイ
  • 写真:カーインテリアと家族

五感で感じる体験価値とコラボレーション

デザインチームは体験価値を提供するために、光・映像・音・空気・香りなど、五感に訴えかけられる要素技術を用いた空間デザインに取り組んだ。たとえば、ウィンドウには新しい映像体験ができる透明ディスプレイ、プライベートやエンター テイメントの雰囲気を作り出す照明システム、リアルウッドを透過するLED 表示システム、シーンに合ったさまざまな香りを生成する技術だ。

これらの実現には多くのコラボレーションが必要だった。サービス・プロダクト・CMF・UX・照明などのデザイナー、空調のスペシャリスト、音響やロボティクスエンジニアなど、社内はもちろん社外や海外の多くのエキスパートとの連携でまとめ上げた。

写真:高精細ワイドディスプレイデザイン 運転ミスを抑制する 車載向けワイドディスプレイ提案

2017年のグッドデザイン賞で<未来づくり>特別賞を受賞した車載向けワイドディスプレイ。このディスプレイは、運転ミスによる事故の抑制を目指した。

3ヶ所に分散しているサイドミラーやルームミラーをひとつの大型ディスプレイに集約することで、周囲の状況を把握しやすくした。従来に比べて視線移動が少なくなり、歩行者や道路状況の認知スピードも上がる。それによって事故を未然に防ごうというものだ。デザインが提案する安心・安全な世界を作るためのコンセプトは、デバイス開発の後押しとなった。

写真:次世代カーコクピットデザイン すべての情報を運転席に集約 次世代カーコクピットデザイン

2015年にはドライバーに必要な情報を、一極集中で表示する運転支援システムのデザインに取り組んだ。

ドライバーを包み込むような曲面のメインディスプレイを始め、手元・頭上にもディスプレイを配置させ、さまざまな情報を適切なタイミングで表示することで、死角なく周囲の道路状況を知ることができる。障害物や他の車に近づいたときは注意を促すなど、安全に・快適に目的地に着けるよう、操作と情報を繋ぎ合わせるコクピットデザインを目指した。

モビリティ社会に向けたソリューションの提案へ

これらデザインコンセプト以外にも、パナソニックデザインはカーメーカーのサプライヤーとして、さまざまな車載デザインを提案してきた。また、車だけではなく映像やセンシング、通信技術を活用した交通インフラソリューション・システム提案にも取り組んでいる。

モビリティのデザインではその技術や知見・ノウハウを生かし、また家電や住空間の知恵を活用した総合的なデザインで、夢のある未来のモビリティ社会の実現のために貢献していきたいと考えている。