Future Life with Noasobi 2
水がつなぐ、自然と人
古池や蛙飛びこむ水の音 松尾芭蕉
日本には、水に恵まれた自然環境が育む、俳句や庭園などの多様な文化が残されています。降水量が多く、雨季がある日本では、水は常に生活の中にあり、自然と人をつないできました。
しかし、今日の都市生活においては、自然から離れ、水も自然の恵みであるという意識は薄れているのかもしれません。そんな時代だからこそ、自然とわたしたちのつながりを、もう一度考え直す時が来ているのではないでしょうか。
水を通じ、当たり前だった自然の豊かさに気づく。
人は自然の一部だと、五感のすべてで実感する。
自然と人がともにある ”未来のくらし” を想像してみませんか?
昨年度のプロジェクト“Future Life with Noasobi”の継続プロジェクトとして、FUTURE LIFE FACTORY + Panasonic Design NYとSnow Peakの2社が考える豊かなライフスタイルを軸に、自然との「Reconnect=再接続」をテーマとした、未来のくらしの可能性を探りました。
自然のすべてに神が宿っているというアニミズムの考えに象徴されるように、日本は古来より自然と人とのつながりを大事にしてきました。わたしたちは、日本文化の中にある自然との関係性を体験の形に表現することで、グローバル社会における自然の普遍的な豊かさとは何かを考えました。
自然の中でも特に、水はわたしたちのくらしに密接に関わる存在です。雨を例にとっても、植物や作物の成長に欠かせない恵みの雨でありながら、一方で人の生活を脅かす恐ろしい側面も持っています。農耕民族として歴史を歩んできた日本人の生活に、水はまさに生活の隅々まで行き渡っています。現代の都市生活では、蛇口を回せば簡単に水を得られますが、水が自然からどのように与えられたか、その由来を忘れてしまう危険性も同時に抱えています。
そこで、わたしたちは水に関わる3つの体験を用意しました。五感を研ぎ澄まし、解像度を高める。水の滴る音に耳を傾け、目でその流れを辿る。水と風がつくる変化を通じ、移ろいを感じる。これまでと違う方法で水に触れることで、かつてわたしたちの祖先が感じたように、水への新鮮な驚きを感じることができるかもしれません。