Loit
道草を食うサイクルモビリティ
私たちのくらしに欠かすことのできない「移動」は、速度・効率・快適性・安全性を求め、さまざまな乗り物が開発され、自動運転自動車も実用化されています。「移動」が今後さらにスマート化する中で、求められる豊かな移動体験として「道草を食う」という慣用句から着想したモビリティを考えました。
テクノロジーの発展によってあらゆる事が「思い通り」になっていく時代において、偶発性やセレンディピティは私たちを刺激し、くらしを豊かにしてくれるのではないでしょうか。勝手気ままに「道草を食う」モビリティは、移動の中に偶然の出会いをもたらしてくれるかもしれません。
「道草を食う」という言葉は、馬が道端に生えている草を食べて進行が遅れてしまうことに由来し、本来やるべきことではなかったことに時間を費やすネガティブなイメージもあります。しかし、私たちはこの気ままさや奔放さからしか生まれない時間や体験に注目し、「道草を食う体験」へと誘うペットや相棒のようなモビリティに必要な要素を考えました。
柔らかいボディ
撫でたくなるような柔らかい素材で覆う事により、生き物と接するときのような親しみを感じられるようにしました。伸縮性のある生地により、まるでLoitが呼吸しているような動きを表現することも可能になります。
感情を表すハンドル
何かを察知してピンと立つ動物の耳や、嬉しそうな気持ちを尻尾の動きで表すように、停車中にハンドルを通してLoitの感情が表現されます。
生物としての形状
一般的にパイプを溶接して作られる自転車に生物らしさを感じるボリームをあえて持たせることで、機械的なモビリティの印象を抑え、「一緒に出かける」という感覚を与えてくれます。
鼓動を感じるサドル
鼓動は最も生物らしさを感じる要素の1つです。自転車と触れる面積が多いサドル部分から移動中も鼓動を感じ、Loitを気にかけたりして自分も休憩をするきっかけを与えてくれるかもしれません。
意思を伝えるペダル
停車中はハンドルと共にペダルの動きで出かけたがっている気持ちや元気な状態を伝えてくれます。また、走行中はアシストしてくれるのはもちろん、Loitの気まぐれや興味を持ったところにとどまろうと、ペダルが重くなったりして意思を伝えてくれます。