入社2年目で振り返る、
海外経験とデザイナーとしての道のり

写真:デザイナー松本優子と飯田功太郎の様々な表情の顔写真
松本優子
入社2年目。金沢美術工芸大学卒。2017年4月入社。炊飯器やオーブンレンジ、ミキサーなど調理商品のデザインを担当。
飯田功太郎
入社2年目。千葉大学卒。2017年4月入社。テレビやサウンドバーなどテレビ周辺商品のデザインを担当。

写真:オフィスの中で談笑する松本優子と飯田功太郎デザイナーを目指したきっかけは何ですか

松本:元々デザインに興味があり、美術系の高校に進みました。最初は、プロダクトは意識していなかったのですが、例えばやかんの持ち手ひとつ取っても、「持たれる形」をしていることに気付いて。よく考えてつくられているけれど、主張していないところに魅力を感じました。そこからプロダクトに興味が湧いて、プロダクトデザイナーを目指すように。美大では製品デザインを専攻しました。

飯田:大学では、工学部デザイン学科で、デザインを学びました。サービスデザインから空間デザイン、カーデザインなど幅広く学びましたが、プロダクトデザインが一番好きでした。大学2年生の時、掃除機をデザインするという授業があって。自分なりに一生懸命取り組んでつくりあげたら、最後に先生が「もっとカッコいいの、できただろ」と。その時に、先生をギャフンと言わせるものをつくってやる!と思ったのが、デザイナーを目指したきっかけです。

パナソニックを選んだ理由を教えてください

  • 写真:電話をしながらパソコンで仕事をしている松本優子
  • 写真:テーブルで雑誌を見ながらスケッチをする飯田功太郎

松本:「普段は目に留まらないけれど、人の生活を支えているもの」の代表が、生活家電。そんな家電をデザインの力でもっと魅力的にしたくて、家電メーカーに行きたいと思いました。パナソニックのインターンシップに参加した際、情熱的な人が多いことが印象に残って。「この人達と仕事ができたら楽しいだろうな」と思ったのが、入りたいと思った理由ですね。

飯田:大きな理由は、パナソニックが日本を代表するメーカーだからです。かつて、日本のものづくりは世界を席巻していましたが、今は少し元気がない。だから、自分が貢献することで少しでも日本メーカーを活気付けられたらと思って。その中でも、パナソニックはグローバルに多種多様な家電を提供しているので、日本を代表する様々な製品に携われそうだと思い、志望しました。

写真:Panasonic Design Kyoto 5FのLABのフロアーに立つ飯田功太郎 写真:Panasonic Design Kyoto 8FのHUBのフロアーに立っている松本優子

入社前に抱いていたイメージとのギャップはありますか

松本:入社前は「お堅い大企業」というイメージで、新人のうちは、きっと単純作業や雑用ばかりだろうなと思っていました。でも入社後は、すぐに先行開発や海外プロジェクトに参加したりと、華やかな仕事もどんどん任せてもらえて、驚きました。

飯田:入社してすぐ新商品のデザイン担当になり、こんなに大事な仕事を新人に任せてくれるのかと驚きましたね。もちろん先輩が全力でバックアップしてくれましたが。入社直後には、新入社員全員でドイツへIFA(国際コンシューマ・エレクトロニクス展)の視察にも。嬉しかったのと同時に、世界を見て気持ちが引き締まりました。

おふたりとも海外プロジェクトに参加した経験があるとのことですが

  • 写真:海外プロジェクトに参加する松本優子
  • 写真:街頭で写真を撮っている松本優子

松本:ロンドンとニューヨークで1ヶ月間、キッチン家電のグローバル戦略プロジェクトに参加しました。現地在住の方へのインタビュー調査や、アイディアワークショップなどを行いましたが、実は、全くと言っていいほど英語ができなくて…。コミュニケーションに苦労しましたが、おかげでリスニングはかなり上達しましたよ!海外では、例えば会議のゴールが明確だったり、時間内で徹底的に議論したりと、スマートな仕事の進め方が印象的でした。自分の意見を発言することの重要さも痛感しましたね。

  • 写真:海外プロジェクトに参加する飯田功太郎
  • 写真:海外プロジェクトの海外メンバーと一緒にいる飯田功太郎

飯田:2020年のテレビを考えるにあたり、アジア拠点のメンバーと共に、クアラルンプールで1ヶ月間、調査で気付きを得るところから具体的なアイディア検討までを行いました。調査では、現地の販売員に店頭インタビューを行い、現地の方々の嗜好性を肌で感じ取ることができました。店頭では日本にはないメーカーが立ち並んでいたことが印象的で、大きな刺激になりました。アジアでシェア1位の海外メーカーの製品にどうやったら太刀打ちできるのか、今後も考えていきたいです。

デザインする上で大切にしていることは何ですか

松本:生産者と消費者、両方の視点を持つこと。生産者の自分は「このアイディアも面白い」「この機能も打ち出したい」と考える一方で、消費者の自分が「必要ないな」「持て余すな」と考える部分は冷静になって精査する。届けたい価値をきちんと届けるために、「削ぎ落とす」プロセスを大事にしています。ゆくゆくは、生活の中にスッと入っていって、いつの間にか人の感情や生活をよくしていくものをつくりたいですね。

飯田:形を「好きか嫌いか」ではなく、「コンセプトをしっかり表現しているかどうか」で評価すること。これは先輩の教えです。デザインした後に一度俯瞰して見て、コンセプトを表しているか?と振り返ることが大切だと思います。今後は、見る人の想像をかき立てるような、可能性が広がる提案やデザインがしたいですね。あとは、生涯でひとつはタイムレスなデザインをつくりたいです。

オフィスが京都にあってよかったと感じることは

  • 写真:松本優子が趣味で撮影した写真のフィルム
  • 写真:座禅をくむ飯田功太郎

松本:写真を撮るのが趣味で、休日によくカメラを持って京都をぶらぶらするようになりました。京都には、古きよき日本ならではの物や文化がある一方で、最新のトレンドを取り入れたデザインが見られる都会の部分もある。どちらにも触れることができるのは、京都の贅沢なところですね。

飯田:京都には、日本文化の中でも特に洗練されたものがあると思います。オフィスからどんどん外に出て、京都を直に感じたいですね。実は、京都に来てからチームメンバーと座禅をする機会があって。勢いで座蒲(ざふ)を購入して、家でもたまに座禅を組んでいます。仕事が行き詰まった時にリフレッシュできて、心に余裕が生まれますよ。また、以前は、同期のデザイナーは拠点がバラバラだったのですが、ここ京都に集まったことで話す機会が増えたのも嬉しいです。

デザイナーを目指す学生にアドバイスをお願いします

松本:「他の誰も要らなくても、自分は絶対にこれが欲しい!」というものをつくっておくといいと思います。自分の「好き」をとことん追求するのは、学生のうちにしかできないので。あとは、海外留学をしておけばよかったな…。

飯田:デザインと一口に言っても幅が広く、空間デザイン、サービスデザイン、UI/UXデザインなど、ものをつくるだけではない様々なデザインがあるので、まずはたくさん経験してみるといいと思います。その中で、自分が一番魅せられたこと、ときめいたことをピュアに突き詰めて、最終的にはやりたいことをやるのがいいと思います。

写真:オフィスでくつろぐ松本優子と飯田功太郎