省エネルギーセンター会長賞受賞
「吸収式冷凍機 『節電型ナチュラルチラーPR型』」 QCW-PR360FG2 他全20機種

吸収式冷凍機は、圧縮機を使わず気化熱を利用する空調システムで、冷媒に水を使い、運転動力源に工場の廃熱や、ガスなどの熱エネルギーを使うため消費電力量が少なく環境にやさしい空調設備としてドーム球場などの大規模施設の空調に適しています。

東日本大震災以降、電力ピークの平準化が大きな課題となってきましたが、吸収式冷凍機については、冷房負荷が大きい時に電力負荷のピークを下げられることに加え、自然冷媒の水を使用していること、また、同程度の能力が必要な空調設備として室外機の設置スペースが少ないという大きなメリットがあり、新設だけでなくリプレース市場においても需要が増しています。

東京ガスエンジニアリングソリューション(株)とパナソニックでは、埼玉県にある事務所ビルの吸収式冷凍機のリプレースをおこなうにあたり、冷却水ポンプの消費電力量を限界値まで削減することを目標に、仕様検討、実証試験を実施してきました。その結果、7~9月の冷房運転時の冷却水ポンプの消費電力量で約82%削減し、空調全体の一次エネルギーで約20%削減という大きな成果が得られました。
『節電型ナチュラルチラーPR型(全20機種ラインナップ)』として発売した本製品を高く評価していただき、平成29年度(2017年)の省エネ大賞において、省エネルギーセンター会長賞を受賞しました。


省エネ大賞受賞商品の主な仕様と特長

主な仕様

製品の主な仕様
機種名QCW-PR360FG2
冷房能力360RT(1,266kW)
冷房定格 COP1.43
冷却水流量234[m3/h] ※従来比35%減
冷却水流量制御先進予測制御
長さ×幅×高さ4.9×2.5×2.6[m] ※従来機同等
運転重量15.6[t] ※従来機同等

吸収式冷凍機

主な特長

  1. 従来製品から定格冷却水流量を35%削減し、冷却水ポンプ搬送動力を72.5%削減
  2. 先進予測制御で、冷却水ポンプインバーター制御時のランニングコストの最小化を実現。
    先進予測制御時の冷却水ポンプ搬送動力を最大97.3%削減

吸収式冷凍機の動作原理について

吸収式冷凍機の動作原理を示したイメージ図

吸収式冷凍機は、冷媒となる水(冷媒水)が 【蒸発器】 → 【吸収器】 → 【再生器】 → 【凝縮器】 の4つの部屋を繰り返すサイクルにより蒸発器により水が蒸発する際に生じる気化熱を利用し、冷房しています。

水の蒸発温度(凝縮温度)と圧力の関係

水は大気圧(絶対圧力760mmHg)においては100℃で沸騰蒸発します。圧力の低い真空下では、約5℃で蒸発します。この性質を利用し、ある容器内を高度の真空に保つことにより、水を蒸発させて冷熱を得られるようにしたのが吸収式冷凍機です。

吸収液として使用する「臭化リチウム」

臭化リチウムは、海水から得られる臭素(Br)と、リチウム(Li)からつくられる白色の結晶で、食塩(NaCl)と似た性質をもち、吸水性に優れていることから吸収式冷凍機の吸収液として利用しています。


「省エネ性」を向上させた技術的特長

定格運転時の冷却水流量の低減

冷却水流路の多様化及び最適組み合わせの選択

当社の吸収式冷凍機では、二重効用型サイクルとよばれる構成で、再生器(上記、吸収式冷凍機の動作原理参照)が、高温再生器と低温再生器に分かれて二段階で吸収液の再生を行っています。
そのため、冷却水流量を減らすと高温再生器の温度が上昇、安全装置が作動するため、いかに高温再生器の温度を下げるか、実機検証を実施すると共に、冷却水経路(3パターン)や、各部伝熱面積の組み合わせ(256パターン)について、サイクルシミュレーションによる仕様の絞込みを実施。冷却水流路及び各部伝熱面積増加の組み合わせから、定格運転時における冷凍能力、COP*、高温再生器温度の目標に加え、コスト面から最も最適となるパターンを選択し、熱交換器の高性能化と合わせ、目標とするCOP、コストをクリアすることができました。

* COP:Coefficient Of Performance(成績係数)冷房機器などのエネルギー消費効率の目安として使われています。

吸収式冷凍機の主な構成を記載したシステム図(イメージ)

実機検証における目標と、選択結果
部位目標値検証結果
冷却水流量[m3/h]7070
冷凍能力[RT]100100
COP1.431.42
高温再生器温度154℃以下152℃
コスト増加率5%以下4%

プレート式熱交換器の高性能化

吸収式冷凍機の吸収器に採用している熱交換器については、プレート式熱交換器を採用しており、熱交換器の性能は、以下の数式で求められる温度効率で示されます。

温度効率 =(高温吸収液入口温度 - 高温吸収液出口温度)÷(高温吸収液入口温度 - 低温吸収液入口温度)

プレート式熱交換器の外観(高温吸収液の入口、出口及び低温吸収液の入口、出口)と伝熱プレートの状態を示した分解イメージ図

熱交換器の性能を高めるには、プレート枚数を増やすのが一般的でしたが、従来と同一のプレート枚数で熱交換器の限界温度効率98%を目標とし、パス数の増加及び、プレート形状の組み合わせ変更、プレート材質、厚さ変更を実施し、従来と同一のプレート枚数で、5%の性能向上を図りました。

  • 熱交換器 パス数の変更(4 → 5): 温度効率 3.5%向上
  • 熱交換器 2種類のプレート組み合わせ: 温度効率 0.5%向上
  • ステンレスプレートの採用(厚み0.5mm → 0.4mm): 温度効率 1.0%向上

最終仕様における設計実証機確認結果

検証可能な最大容量となる 100RT(352kW)での最終検証機を制作し、実機検証を実施。


最終仕様における検証結果
部位 判定基準 実測結果(1) 実測結果(2) 実測結果(3)
冷水条件[℃] 12 → 7 15 → 7 15 → 7
冷却水流量[m3/h] 70 70 70 65(△35%)
冷凍能力[RT] 100 100 102 100
COP 1.43 1.43 1.44 1.43
高温再生器温度 154℃未満 153℃ 152℃ 153℃

目標とする冷却水水量削減率 30% に対し、35%の削減を達成!

先進予約制御

冷房定格負荷での冷却水流量は、冷却水流量比 100%の実線部(図参照)から、35%下げることができましたが、冷房定格負荷より低い負荷の場合、従来の冷却水ポンプの制御では、50%~100%の間は冷房負荷に比例する流量にし、冷房負荷が50%以下になると、定格冷却水量の50%一定での制御になっていました。

冷却水ポンプインバーター制御時の流量比推移グラフ 冷房定格条件で冷却水流量を35%削減、インバーター制御により最大70%まで削減

開発機では、[冷房負荷率][冷却水入口温度][燃料制御弁開度][高温再生器温度]の4つのパラメータを用いた演算により、エネルギーコストが最小となる冷却水流量に制御する 『先進予測制御』 を搭載しました。

  • 演算1:冷却水ポンプ消費電力量が最小となる値を算出
    → 冷房負荷、冷水入口温度、燃料弁開度の演算式からインバーター周波数値を算出
  • 演算2:燃料消費量と冷却水ポンプ消費電力量の合計が最小となる値を算出
    → 冷房負荷、冷却水入口温度の演算式からインバーター周波数値を算出

この 『先進予測制御』 により、従来制御より更に冷却水量を下げることが可能になり、全ての冷房負荷領域でCOPが低下することなく、下限の冷却水流量に制御できるようになりました。

大型機による全冷凍容量による実証実験

本製品は、70~1000RT(246~3,516kW)の全20機種のラインナップがあります。当社で100RTを用いた確認をおこなった後、東京ガスエンジニアリングソリューションズ(株)、パナソニック産機システムズ(株)と当社が三位一体となり、よりRT容量の大きい埼玉県の事務所ビル納入機(360RT)において、省エネルギー性の実証確認を実施いたしました。

検証機の仕様
機器型式QCW-PR360FG2
納入台数2台
冷房定格能力360RT(1,266kW)
冷房定格COP1.43
冷却水流量234[m3/h] 従来比65%
燃料都市ガス
検証方法
実証時期2016年7~9月
データ測定遠隔監視で実施
運転監視消費電力量、COP等確認
吸収式冷凍機 製品外観(長さ4.9×幅2.5×高さ2.6[m])

空調負荷と冷却水ポンプ消費電力の変化 電力ピーク時に冷却水ポンプ消費電力を約70%削減
COP推移確認結果 定格COP以上での推移を確認

電力ピーク時の冷却水ポンプ消費電力 約70%削減 および、COP維持を確認。


7~9月の冷却水ポンプ消費電力量測定結果(2台合計値)
 納入機測定結果従来機算出値
冷却水ポンプ消費電力量 [kWh]11,279(82%削減)62,700
運転時間 [h]1,140(2台合計) 

掲載させて頂いている内容は、それぞれ省エネ大賞受賞時のものです。
既に生産・販売が終了している商品や、仕様変更、価格改定、組織の変更等、最新の情報と異なる場合がありますのでご了承ください。

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