平成25年度 省エネ大賞 省エネルギーセンター会長賞

業務用冷凍空調機器の冷媒として利用されてきたフロン類(CFC:クロロフルオロカーボン、HCFC:ハイドロクロロフルオロカーボン)や、代替フロン(HFC:ハイドロフルオロカーボン)は、オゾン層の破壊や地球温暖化の原因となることから、大気中への放出を抑制するため、機器を整備・廃棄する際の回収を義務付けた、「フロン回収・破壊法」が2001年に制定されました。
また、地球温暖化防止やエネルギー問題などの地球規模となる社会問題が一般化しており、より地球温暖化係数(GWP)の小さい「自然冷媒」や「新冷媒」への置き換えが課題となっています。

当社では、自然冷媒の中でも、不燃性で、毒性のないCO2(二酸化炭素)に1997年から着目し、冷凍機や、ショーケース類の開発を進め、これらを統合的に制御するコントローラーを採用し、高い省エネ性を実現したノンフロン冷凍システムを開発しました。


ノンフロン冷凍システムの概要

画像:CO2冷凍機を核に、オープンショーケースやウォークインショーケース、デザートケース、冷凍ショーケースが運用される店舗と、店舗に設置されたマスターコントローラーを介し、インターネット経由で遠隔監視をおこなうイメージ図

CO2冷媒を利用したヒートポンプ機器は、水を加温し温水を作り出す給湯器が一般的で、冷蔵や、冷凍をおこなう冷凍機器への適用は難しいとされてきましたが、独自のコンプレッサー技術や、新たな冷凍サイクルの採用により、従来のHFC冷媒を使用した冷凍機に負けない効率(COP)や、省エネルギー性能を得ることができました。

これにより、スーパーや、コンビニなどのショーケースを対象に、CO2冷媒を採用したノンフロン冷凍機システムで構成し、統合管理することで、効率のよい運転を実現させ、高い省エネルギー性能を得ることができました。

HFC冷凍システムに対するランニングコストの削減

大型店舗で導入される、冷凍リーチインショーケースにおいて、従来の当社HFC冷媒を採用した冷凍システムに対し、CO2冷媒冷凍システムを採用した場合の実証実験結果から、店舗における冷凍システムのライフサイクル(15年)における削減効果は、5,290,320円/15年(352,688円/年)となります。

≪ 冷凍リーチインショーケース15馬力2系統による試算内訳 ≫
フロン回収・破壊費用 300,000円
使用時漏洩点検(2回/年) 750,000円*1
電気料金の削減(14円/kWh) 4,240,320円/15年*2
(282,688円/年)
  1. *1. 漏洩点検を25,000円/回 として、年2回×15年間
  2. *2. 消費電力量 20,192kWh/年の削減として

CO2冷媒を採用した冷凍システムを実現した省エネ技術の紹介

【省エネ技術】 CO2冷媒対応 ノンフロン冷凍機

写真:冷凍機(1台構成)

CO2冷媒の場合、HFC冷媒(R-404A)を使用した場合に比べ、高圧圧力が約4倍大きい10[MPa]以上となり、低圧と高圧の圧力差は、約5倍となるため、コンプレッサーを設計する上で、強度、漏れ、摺動部の信頼性、高効率化、軽量化などさまざまな課題がありました。

これらの課題を解決するため、冷凍機の心臓部となるコンプレッサーを新たに開発。
また、スプリットサイクルの採用により、冷凍~冷蔵(蒸発温度45℃~5℃)への対応を実現しました。

ロータリー2段圧縮コンプレッサー

新開発のコンプレッサーは、内部に2つの圧縮ローターを持ち、コンプレッサー内部が中間圧力領域となるように構成されます。

2種類の画像:冷媒が2段圧縮される流路構成のイラストと、2段圧縮コンプレッサーの2段圧縮機構内部構造の断面図(イメージ図)

冷媒が2段階に圧縮される仕組み

  1. 吸入された冷媒は、1段目圧縮機構により中間圧力まで圧縮されます。
  2. 中間圧力まで圧縮された冷媒は、コンプレッサー内部に吐出されます。
  3. コンプレッサー内部の冷媒は、中間冷却熱交換器で冷却され、2段目圧縮機構に導かれ、本来必要な圧力まで高められ吐出されます。

このように、コンプレッサー内部を中間圧力領域とすることで、コンプレッサー本体の耐圧設計が容易になります。また、中間圧力に高められた冷媒を中間冷却熱交換器で冷却することで、2段目に吸入される冷媒の温度を低くし、圧縮効率の改善を実現しています。
また、1段目と2段目の排除容積比の最適化により、高効率化を実現しています。

スプリット熱交換器を採用した冷凍サイクル

画像:スプリット熱交換器の冷凍サイクルのイメージ図(詳細は本文で説明)

CO2冷媒による直膨式の冷凍サイクルを採用する場合、冷媒の臨界温度が31℃と低く、高圧側が超臨界域となるため、高圧圧力に加え吐出される冷媒の温度が高くなります。
圧力が高くなることに対しては、冷媒を2回に分けて圧縮する2段圧縮方式を採用することで圧縮効率を高めています。また、吐出される冷媒の温度が高くなることに対しては、2段目に圧縮される前に中間冷却を採用することで解決し、信頼性を向上させました。

また、更なる高効率化を図るべく、新たに当社独自のスプリットサイクルを採用し、高性能化(冷凍能力アップ)を実現しています。

スプリットサイクルとは、高圧冷媒の一部を分岐し、減圧、蒸発させ、主回路の冷媒と熱交換することで、冷凍機出口の高圧冷媒の温度を下げて、冷凍効果を増大する回路です。蒸発させた冷媒は、2段目の圧縮吸入回路に導かれ、コンプレッサーから吐出される冷媒の温度と中間圧力の最適化も合わせておこなっています。

【省エネ技術】 CO2冷媒に対応したCO2冷媒対応ショーケースの開発

画像:冷凍リーチインショーケースや、コンビニ向け多段ショーケース、スーパー向け多段ショーケース、スーパー向け冷凍平ケースなどのCO2冷媒ノンフロン冷凍機に接続される機器

熱搬送能力の大きいCO2冷媒の特性を利用し、冷却器の冷却パイプ径を約25%細径化すると共に冷却パイプ間ピッチの最適化設計をおこない、熱交換効率を向上させた冷却器を開発しました。

さらに、電子膨張弁による最適な冷媒制御をおこない省エネを図っています。

【省エネ技術】 店舗内冷凍機器を統合管理・制御するマスターコントローラー

それぞれの店舗における、冷凍機器や、空調機器、電力計などを集中管理するマスターコントローラーを開発しました。
このマスターコントローラは、各種警報をインターネットを経由し、遠隔監視センターに発報する機能があり、CO2冷凍機・ショーケースの運転状態を遠隔から確認するとともに、運転の最適化や、異常を察知した場合のサービス対応に直結させることを可能にしています。

画像:開発されたマスターコントローラーが、CO2冷媒対応ノンフロン冷凍システムだけでなく、店舗に設置された電力計や、空調システムとも接続され、インターネット経由で遠隔監視センター(遠隔監視サービスERMOS)と接続されているイメージ図
画像:冷媒圧力の最適化による省エネを説明したイメージ図(ショーケース等が必要とする負荷に合わせた低圧圧力とするため、従来のコンプレッサーの運転状況と、統合管理・制御により、余分な運転を削減した運転状況の比較イメージ。)
  • 接続された機器の各種温度情報、圧力情報が集約され、そこから冷凍機の最適な圧力制御を行い省エネ運転を実現します。
  • ショーケースの電子膨張弁との同期制御により、冷媒の流れを最適制御することで、安定動作と省エネ運転を実現しました。
  • 遠隔監視システムと、インターネットを介し接続することで遠隔から運転状態の確認や制御を可能にしました。

省エネ効果の検証

これらの省エネ技術により、当社のCO2冷媒対応ノンフロン冷凍システムは、HFC冷媒(R-404A)による冷凍システムに対し、省エネ率として、冷凍条件:25.4% 冷蔵条件:16.2%の省エネ効果を得ることができました。

※CO2冷媒対応ノンフロン冷凍システムを導入頂いた、6店舗を平均した省エネ率。

≪ 冷凍 ≫
店舗 R-404A CO2 効果 削減率
A店 85,866 65,674 20,192 23.5%
B店 90,232 74,509 15,723 17.4%
C店 134,362 91,592 42,770 31.8%
D店 140,396 104,633 35,763 25.5%
E店 8,369 5,673 2,696 32.2%
F店 31,298 23,814 7,484 23.9%
合計 490,523 365,895 124,628 25.4%
≪ 冷蔵 ≫
店舗 R-404A CO2 効果 削減率
A店 250,131 208,463 41,668 16.7%
B店 304,982 250,052 54,930 18.0%
C店 250,529 204,895 45,634 18.2%
D店 318,938 277,688 41,250 12.9%
E店 23,452 20,413 3,039 13.0%
F店 45,626 39,108 6,518 14.3%
合計 1,193,658 1,000,619 193,039 16.2%

※各店舗での年間消費電力量(kWh)を比較 試算条件:R404A:試算値、CO2:実測値



掲載させて頂いている内容は、それぞれ省エネ大賞受賞時のものです。
既に生産・販売が終了している商品や、仕様変更、価格改定、組織の変更等、最新の情報と異なる場合がありますのでご了承ください。


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