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選手たちの礎を築いた野球人生での「忘れられない、あの試合」を紹介!
この試合が無ければ今の勝田選手はいない…人生を左右したあの試合とは?

#21 勝田紘一朗

戦う相手は目の前にいた
~第96回全国高校野球選手権 島根県予選「松江北高校」対「江津高」~

2021年03月30日

画像:高校3年生の夏の県大会にて
高校3年生の夏の県大会にて

高校3年生の夏、県大会での経験は、私のその後の人生を決定付けたと言っても過言ではありません。

私の母校である松江北高校は、公立のいわゆる進学校で、野球部は全くと言っていいほど強くありませんでした。1年生の秋からエースになった私が孤軍奮闘して相手打線を抑え、勝った試合は1-0や2-0という、弱小校にありがちなワンマンチーム。部員は各学年10人程度と少なく、学業に多くの時間を割かなくてはならないので練習時間も短い。甲子園の常連とされる強豪の私立校とは、かけ離れた環境でした。しかし、それでも私たちは必死に甲子園を目指していました。

高校生活最後の夏の県大会。初戦の相手となった公立校は、自分たちとよく似たチームカラーでした。直近の練習試合では、私が先発し完封勝利を収めたので、正直、「このチームには勝てる!」「2回戦をどうやって勝つか」と、頭の中は目の前よりも先を考えていました。

試合開始直後のことです。いきなり先頭打者のピッチャーライナーが私の足を直撃! このアクシデントで、足に痛みを抱えながらのピッチングとなりましたが、なんとか踏ん張り続けたところ、5回に1点を先制することが出来て、1-0とわが校がリードする状況になりました。私の心の中には「俺が打たれるわけがない」「1点あれば十分」と、“良くない余裕“が生まれてきました。

そして7回。2アウトランナー2塁のピンチを迎え、カウントは2ボール2ストライクに。ここで三振を取りに行ったところ、そのストレートが高めに抜け、なんと痛恨の逆転ホームランを浴びてしまったのです。その後、私たちは反撃することも出来ず、試合は1-2で終了。負けると思っていなかった相手に負けた・・・。試合後は頭が真っ白になりました。

「1塁が空いていたので、もう少し厳しいところを攻めたらよかった」「三振を取りたいという焦りで、不用意な一球を投げてしまった」。今思い出しても、こうした反省点が多々あります。高校生活最後の試合に、私は大きな悔いを残してしまいました。

大学では野球は続けないつもりでしたが、この敗戦がきっかけで「大学でも野球を続ける」と決意。そして、社会人となった現在もまだ野球を続けています。もし、あの場面できっちり三振を奪い、試合に勝っていたなら、私は野球を続けてなかったでしょう。まさに、私の人生の分岐点と言える試合でした。

そして、「どのチームと当たっても、今、目の前にしている試合に全力を注がなければいけない」。このことを学びました。

社会人野球も高校野球と同じ一発勝負の世界。
これからも、目の前の試合、プレーに集中して、一戦必勝で戦っていきます!

画像:勝田選手
画像:勝田選手
勝田 紘一朗
・所属:ライフソリューションズ社 本社直轄 建設業統括部
・球歴:松江北高-大阪体育大
・プチ情報:故障からの完全復活を誓う長身左腕。グローブの配色センスはチームNO.1(自称)
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