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第1部 全国電動自転車充電の旅

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第1部―全国電動自転車充電の旅
テストコースの坂に挑戦

ということで、ViViは軽いのが最大の良さである。これはとくに坂道を登るときにはっきりとわかる。

自動車メーカーにテストコースは必需品だが、自転車メーカーにもテストコースがあるとは失礼ながら驚いたのだが、考えてみれば当然のことであった。大阪府柏原市にある工場に設けられたテストコースの坂道を登ってみた。


これがテストコース、傾斜角10°の坂道。見ただけでしんどそうな急坂だ。
まずはアシスト機能をオフにしてトライ。案の定、立ち漕ぎしないと登れない。
今度はアシスト・オンにしてみた。なんとゆったり座ったまま、楽々と登ることができた。
普通の女性が試してみました

クリックすると別画面で動画を再生します

 

ところで、ナショナル自転車工業(株)は、79年に電動自転車を発売している。今から24年も前のことだ。松下電器の創業者、松下幸之助氏の「電器メーカーらしい自転車を通じて社会に貢献したい」との思いからであった。

Electric Cycleと名付けられたそれは、アシスト式ではなく、いわゆるバイクと同じ自走式であった。そのために運転免許が必要であり、また鉛電池の性能も低く、ヒットには至らなかったという。

だが、ペダルのある原動機付き自転車(ただしエンジン式)こそ、私のモータリング人生のきっかけとなった乗り物であり、Electric Cycleは、その電気版というかモーター版であったわけで、それが2度のオイルショックと世界一の排ガス規制に揺れていた70年代の末期の79年に発売されていたというのは、大変な驚きであった。ViViにはルーツがあったわけだった。

それはともかく、Electric Cycleの車重は31kgであった。これは重い。電池が切れてしまっては、坂道は容易に登れなかったであろう。ところが、エクセレントViViであると、電気を切ってもテストコースの坂を登れた。ごく普通のママチャリと同程度の重さであり、慣れれば腰をサドルから浮かさずに登れる。

では電気を入れたらどうか。これはわざわざご報告するまでもないだろう。もちろん、OKである。電気を切っても坂道で楽だから、平坦路ではもっと楽である。これなら電池がなくなっても安心だ。

となると、電動自転車とは何のためにあるのか。この論議は次回以降にたっぷりするとして、試乗を続けよう。

印象的だったのは、やはり全体を通しての軽さ感であった。自転車本体の軽さが、まず嬉しい。これは段差を越えるときや、アパート、マンションにお住まいの方が電動自転車を収納するときの何よりの福音であろう。

それからペダルが軽い。これが電池がなくなったときの最高のプレゼントである。この軽さこそ、開発担当者の汗と涙の賜物であり、ViViの新技術の目玉のひとつなのである。これについても次回に譲ろう。

試乗を終えた感想は、「これは使える」というものだった。そして、ViViは電動自転車の常識を変革すると思った。


 
これも電動アシスト付。足付きの良いリラクルシリーズだ。
スポーティタイプのViVi USAも試乗させてもらった。折りたたんで持ち運べる。

 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「電器屋さんの自転車」を夢見てそれを実現した松下幸之助氏。

 
初代電動自転車発売当時のパンフレット。(クリックすると拡大します)

 
初代電動自転車(右)とその24年後の子孫となるデラックスViVi。創業者の夢と信念は今日にしっかりと受け継がれている。

 
 
 
 
 
1充電当たりの距離とは?

さて、電動自転車に対する苦情というか、疑問というか、良く分からない点は、1充電当たりの航続距離である。つまり、電池はどれくらいもつの?というものだ。

実際には、カタログに記載されている航続距離がなかなか出ない。それからあの人と、この人と、私で違うというものだ。したがって、私の生活の範囲で使えるのか、あのスーパーまで行って帰ってこられるのか。よく分からないので購入に踏み切れないことになる。

この点に関しては、同じ電気で走るEV(電気自動車)を手作りする私が、日々格闘している問題でもある。

すこしばかり電気というよりも、電池式の乗り物の経験がある私からいわせてもらえば、電池駆動車は、「使えるように使う」ことが使い方の秘訣である。航続距離が50kmであれば、その範囲で使えばよい。今日は往復300kmも走るという時は、迷わずエンジン車を選べばよい。電池駆動車に、エンジン車並みの航続距離や使い勝手を求めては、エンジン車が抱えた多くの問題を、電池駆動車もまた抱えることになり、その未来は暗い。

しかし、50km走るはずの電池駆動車が、30kmしか走らなかったり、逆に調子がよくて70kmも走ったりするのである。これでは困る。
 
日本EVクラブの会員は、EVを手作りしているので、こうしたEVのクセを見抜いている。今日の走り方では、このくらい走ると分かるのだが・・・。

電動自転車もまた、同じである。60km走るというエクセレントViViも、それは標準モード走行時という決まった走り方をしたときのものだ。走り方によって、60kmはもっと短くもなる。

自動車の排ガスと燃費に10.15モードという走り方の基準がある。発進して、加速して、一定速度で走り、減速して、一時停止して、再び加速して、一定速度で走り・・・を繰り返す。カタログ値といわれるこのモード燃費が、実際の燃費と大きく異なることは、よく知られている。電動自転車の標準モード走行も同じ問題を抱えているのだが、基準がないことには他者と比べられないので、仕方のない話でもある。


 
計器を積んで西へ東へ。もうひとつの充電の旅

では、どうすれば正確な航続距離をユーザーにアナウンスできるか。

そこで、ViViを使う人が走る道路を実際に走ってみればわかると、開発陣は無謀な提案をした。もっともやる前にそれが無謀であるかどうか、分かっていたかどうかは知らないが。

少なくとも、私は無謀だと思った。というのは、日本EVクラブで「2001年全国充電の旅」なる企画を立て、手作りのEV(といってもベースはメルセデスAクラス)でコンセントをお借りしながら、この年の4月から10月まで6ヶ月余りかけて、日本をぐるりと1周、12000kmの旅を実施していたからだ。大変だったなんてものではなかった。

聞くと、北海道から沖縄まで、交替で走りましたという。しかも、小型の計測器を積んでだ。交替でとおっしゃるが、引き継ぎもあり、コツみたいなものもあるから、つきっきりだった人がいるでしょ?と聞くと案の定いた。営業部CSセンター営業技術課の杉田光泰さんである。ほとんどの計測に付き合ったという。

各地のいわゆる自転車屋さんに伺っては、ルートを決め、ViViで走りまくり、電費を計測し、実際の航続距離を計ったという。疲れたでしょう? と聞くと、「アハハ」と笑っていたが、杉田さんの顔はひきつっていた・・・というのは冗談で、明るい顔であった。


 

杉田光泰氏
営業部 CSセンター 営業技術課
各都道府県ごとに定めたルートを 実際にViViで走り、具体的な使用状態での走行特性を数値・グラフ化する「旅」を実践。1999年から約1年かけて全国を回った。

 
杉田氏の「旅」の成果をまとめた データCD。全国の販売店で販売促進に活用されている。
杉田氏の旅に商売の原点を見た

松下電器の創業者である松下幸之助氏は、三つ又のコンセントの行商から商売を始めたと、どこかで聞き及んだ。行商こそ、私は商売の原点だと思う。顔と顔を突き合わせ、世間話から家族の話まで・・・。そうして初めてお客さんの本当のニーズがつかめる。お客が何を、どんな気持ちで、どんなふうに望んでいるか。それは、通り一遍のマーケット調査の紙っぺらでは分からない。

2001年充電の旅も、EVを売るためのものではなく、EVを知ってもらい、乗ってもらい、コンセントをお借りして充電を知ってもらい、それを通じて自動車の今日的問題を同じ地球市民の立場で考えようというものだった。そのためには、市民にEVに乗りに来てもらうだけではなく、その人が住んでいるところに出かけ、生活の場でEVに乗ってもらうのが筋だと思ったのである。

全国電動自転車充電の旅が、どれほど大変な旅であったか。絶対に楽なものではなかったはずだ。だが、これなくして、電動自転車の本格的な普及はありえない。これまでに存在しなかった商品を普及するには、こうしたフェイス・ツー・フェイスの、体温が伝わるような距離での行商が絶対に必要だ。

航続距離とは、実は安心感の距離なのである。安心感とは、電気がなくなったり、何かあったりしたら、「ハーイ。すぐ行きますよ」といってくれる販売店の顔見知りがいるということなのだ。戦後間もなくのバイクや自動車の普及期は、大変に故障が多かった。それを乗り切れたのは、機械の信頼性の向上と共に、いわゆる修理屋さんの存在があったからである。

全国電動自転車充電の旅に、私は感銘を受けた。ナショナル自転車工業(株)は、やるなと思った。

次回は、軽量化の汗と涙の物語をお送りしよう。


「技術的なデータを取ることが当初の目的でしたが、各地の販売店さんにご協力いただいて、お客様に実感していただくための情報として提供できたのが嬉しいです」

杉田氏が調査時に使用したのが計測器「スマートくん」を搭載したViVi。

計測の成果はこちら!
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ナショナル自転車工業(株)のサイトから、ViViを取扱・展示している販売店を検索できる。(地図をクリックしてください)
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