ここから本文です。

パナソニック・ホーム 現在のページは、isM トップ > の中の鍋に泣いた男たち 〜オールメタル加熱方式IH〜 > の中の其の二 「3倍共振の大発見」の巻のページです。

※過去に掲載された記事になります。内容は公開時のものであり、最新の情報とは異なる場合がございます。

writer 高木紀子
「3倍共振の大発見」の巻
こう〜べ〜♪と歌いたくなるのは私が××歳だから?
ついにやって参りました。神戸です。
実家の母に娘を預けての新幹線出張。
久々の遠出にちょっとウキウキでございます。
しかし、今日は「オールメタル加熱方式IH」の取材。
とことん文系の私ですが、何がどうオールメタル加熱なのか、
徹底レポートせねばっ!
お話してくださるのは、
クッキングシステム事業部・技術グループ、
グループマネージャーの岩井さんと、
主任技師の藤井さん、相原さんです。
高木 「この度は、すべての金属を加熱できる
IHクッキングヒーターの開発成功、おめでとうございます。」
岩井 「ありがとうございます!
今まではアルミを使用した多層鍋や圧力鍋、銅鍋など、
IHに適さない鍋があったんですが、この新製品では
これらが使用できるようになりました。かなり進化していますよ。」
高木 「IHクッキングヒーターにとっては、画期的なことなんですよね。」
岩井 「そうですね。オールメタル加熱は
IHにとって最大の課題だったんですが、
まさかこんなに早くできるとは思いませんでした。」
高木 「いつ頃から取り組んでいらっしゃったのでしょうか?」
岩井 17年前かな。
高木 「えっ!こんなに早くできるとは思わなかったって・・・
17年前のスタートなのにですか!?」
岩井 「そうです。17年前、私ともうひとりの2名で始めたんです。
でも、これはいける!と思ったのは、この2、3年かなあ。」
高木 「・・・・・・。た、たいへんなお仕事ですね。」
岩井 「実は、この研究は17年間に3回仕切り直しをしてるんです。
3回とも技術的な課題にぶつかって、
4回目でやっと完成したというわけです。
その間、さまざまな方法を試みたんですが、
アルミ鍋をIHで長時間安定して熱することは、
1度もできませんでしたね。」
高木 「あの〜とってもとっても初歩的な質問なんですが・・・」
岩井 「はい。何でしょう。」
高木 「もちろん資料は拝見したんですが、なにぶん文系なもので・・・。
IHでお鍋が熱くなるしくみを説明していただいても良いでしょうか?」
岩井 「IHとは電磁誘導加熱のことです。Induction Heating の略です。
うずまき状のコイルから発生する磁力線が、コイルの上に置いた鍋の底にうず電流を生じさせる。磁力線の働きで、鍋自体をヒーターのように発熱させるというしくみです。
鉄は電気抵抗が大きいので、流れる電流が熱に変わって鍋の底が熱くなりやすい。
しかしアルミは電気抵抗が小さいので、従来のIHでは、
電流は通っても充分な発熱が得られなかったというわけです。
おわかりいただけましたか?」
高木 「Maybe・・・いえいえ、よくわかりましたっ。」
高木 「今回の成功のきっかけは、何だったんでしょうか?」
岩井 「松下電器の技術研究所に弘田という研究者がおるんですが、
彼が3年ほど前に発想した“3倍共振インバーター”が突破口ですね。」
岩井 「先ほどもお話したように、アルミは非磁性体で
固有抵抗値が小さいため発熱しにくい。
IHで反応させるためには、周波数を上げる必要があったんです。」
高木 「非磁性体?固有抵抗値?」
岩井 「どうかなさいましたか?」
高木 「あ、気にせず、どうぞお続けください(汗)。」
岩井 「従来は、半導体スイッチング装置のスイッチ回数分しか
周波数が出ないので、20キロヘルツであれば1秒間に2万回。
スイッチを2万回入れたり切ったりしなければならない。
それが、今回の目標である60キロヘルツ
になると6万回に増えるわけです。
1回スイッチを切るごとに微量ながら電流の損失が発生しますから、
単純に言うとその損失も3倍になる。
これでは本来、鍋の加熱のために使いたいエネルギーが、
損失として消費されて失われてしまうんです。
しかし3倍共振インバーターなら、
従来のスイッチング回数は
そのままで、アウトプットは60キロヘルツの周波数になる。

損失を増やさず、周波数だけ上げられるというわけです。」
高木 「な、なるほど。むずかしい。」
岩井 「・・・・・・。」
高木 「で、その弘田さんという方は、
どうやって3倍共振を発見されたんでしょう?」
岩井 「本当に一生懸命やっていると、
ある日突然、
神様がちょっとしたヒント
くれることがあるんですよ(笑)。
それをヒントと思うかどうかは、
本当にやっている奴にしかわからない。
時には、誤った実験から出た変な結果がきっかけのこともある。」
高木 「そういえば、ノーベル賞の方もそんなことを・・・。
まさに、失敗は成功の母なんですね。」
岩井 「通常は1回電流が流れたら、スイッチを入れ直すんです。
ところがある日、誤動作か何かで2回目のスイッチが入らなかった。
その時、どういうわけか振動が減衰せず続くことに
弘田は気づいたんです。あれ?だったら
1回のスイッチで3回振動させればいいや、と(笑)。
常識と思われていたやり方から離れてみたら、
1回のスイッチングで3倍の周波数が得られた。
ただし、この3倍共振は、アルミならではのものです。」
高木 「おぉ!研究者の弘田さんの発見がなかったら、使えない鍋が
いくつもあるIHの時代は、まだまだ続いていたってことですよね。
大発見って、些細なことがきっかけだったりするんですねぇ。」
岩井 「そう。ただ、発想は良かったけれども、製品として
実用化するのは並大抵なことではなかったんです。な、藤井くん。」
藤井 「そうです。そこからすべては始まりました。」
高木 「え、まだ始まってなかったんですかー?!」
どうやらかなりの困難が待ち受けていたと思われる、
「オールメタル加熱方式IH」への道。
次回は鍋とIHに向い続けた日々を、藤井さんに伺います。
私と同じ文系のあなたも、また見てね!

つづきを
クリック!
クリック!
気になる次回は、
TOP 使って納得 IH
トップへ | 其の三 「初めてお湯が沸いたのは、去年の冬だった」の巻へ