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プロローグ (地球にやさしくない女の反省文)

燃料電池って何でんねん?
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プロローグ(地球にやさしくない女の反省文)

このままじゃ、いけない!

エコロジストって言葉、私はどうも好きになれません。
「健康のためなら、死んでもいい」じゃないけど、地球環境を守るためなら、どんな犠牲も払うべき、と言われているみたいな気がして。
 
そりゃ、私だって自然は好きです。
たまに山や森へ行って、野鳥の声を聞いたり、湿った土の匂いをかいだり、木漏れ日を浴びてオゾンいっぱいの風の中で深呼吸したり……、
気持ちがいいですよね。
 
じつは、エコロジストって言葉に恨み(?)があるのは、
めざしたけど挫折した、暗い過去があるからなのです。
 
6年ほど前、オーガニックがブームになりかけたころ、
私は「有機野菜という選択〜今、なぜオーガニックなのか」(きこ書房)という本の執筆に参加しました。参考資料として「複合汚染」(有吉佐和子著)や「沈黙の春」(レイチェル・カーソン著)を読んだり、取材を通し、都会のサラリーマン家庭で育った若い人たちが有機農業に情熱を傾ける姿を見たり、化学肥料と農薬を湯水のごとく使って大量生産に走ってきた日本の現代農業の実状を知るにつけ、「このままじゃ、いけない!」と殊勝にも思ったのでした。
 
私も、できることから始めなきゃ。
 
 
かなーりストイックな生活

ベランダのガーデニングには、すべて有機肥料を使おう。
土にしっかりと微生物の循環ができていれば、農薬を使わなくても虫が来ないし、病気にもならないはず(と、エコ本に書いてあった)。
河川や海を汚染する合成洗剤はやめて、食器用も洗濯用も、すべて石けんに変えよう。遠くの自然食品店まで有機野菜を買いに行き、添加物の入った加工食品は、たとえもらっても口にせず、調味料も自然のものにこだわりました。
 
そんな、かな〜りストイックな生活を続けて約1年。
 
ベランダの花々はアブラムシと病気にまみれ、油膜のついたグラスは、ビールを注いでも悲しいほどあっちゅうまに泡が消え、白いシャツはババくさく黄ばみ、洗濯槽はカビだらけ。葉もの野菜にイモ虫を見つけては悲鳴をあげ、食費を高騰させては夫のヒンシュクを買いました。
 
もう、だめ……。
イラスト ビールにアワがたたない。シャツが黄ばむ。 ※石鹸で洗濯をする場合、洗濯槽が1重の洗濯機を使えばカビの問題は軽減し、すすぎにスプーン一杯のお酢を混ぜたり、お湯で洗えば黄ばみも防げますよと、読者の方にご指摘いただきました。当時(2000年頃)の私はそれを知りませんでした。ご指摘ありがとうございます。
(2007年2月20日追記)

 
 
あぁ、私って、地球に冷たい女だわ・・・

エコロジカルな生活を持続するには、こまめに植木鉢の害虫を
つまみ取ったり、食器を洗った後にヤカンで熱湯をかけたり、
服の多少の黄ばみはがまんしたり、洗濯槽の掃除をしょっちゅう
したり、しなければなりません。イモ虫の食べ残した野菜を
いただく勇気や食品にそれなりのお金を払う覚悟も必要です。
 
こうして私は、ものすごく強い意志と忍耐力と、手間を惜しまぬ
根気のよさと、そして何より、経済的なゆとりがなければ、
エコロジストにはなれない、ということを身をもって知ったのでした。
ええ、まあ、言い訳なんですけども。
 
それからというもの、つねに心のどこかで
ああ、私って、地球に冷たい女だわ……と
自責の念にかられながらも、文明を享受し、堕落した毎日を送ってきたわけです。それでもやっぱり、つねに心のどこかで振られてしまった
初恋の人を想うみたいに、エコロジーのことが気になるわけです。
 
希望に満ちたあの頃にはもう戻れないけど、かといって、
忘れ去ることもできない。気がつけば、いつしかライターとしての
仕事は環境関係のものが増えていました。
 
それ、いったい何でんねん??

そしてある日……。
そんな屈折した私の思いを知ってか知らずか
(って、知ってる人はいないのですが)、舞い込んだのが、
松下電器の「家庭用燃料電池コージェネレーションシステム」
を取材する、というお話。
 
ねんりょうでんち、略して「ねんでん」。
それ、いったい何でんねん??
 
いや、まあ、めざせエコライターとしては、言葉ぐらい聞いたことありますが。エコカーとかに搭載されてるヤツですよね。水素を使って発電するから環境にいい、という。え? その程度なら、エコライターめざさんでも知っとるがな、って?失礼しました。
 
コージェネレーションについては、以前勤めていたゼネコンでも
扱っていたから、もう少し知っています。
そういえば、新宿新都心のコージェネレーションシステムを実際に
目にしたこともありましたっけ。
大きなプラントで電気とお湯を作って、
周辺のいくつかの超高層ビルへ供給している、ということでした。
 
あれっ!? でも!!
そのシステムは、ビルの脇にジェット機のエンジンのような
巨大なタービンみたいなのが何基もあって、ブンブン唸ってましたよ。
あんなのたとえ一基でも置ける家庭なんて、お城でもなきゃ、ムリ。
それとも、アレとコレとは別物なんでしょうか?
 
だから、いったい何なのっ(逆ギレ)?!
ああ、なんて思わせぶりな家庭用燃料電池コージェネレーションシステム。
 
もどかしさを胸に、私は松下へ取材に行く前に、燃料電池開発情報センター(FCDIC)へと向かったのです。ここは、燃料電池に関する技術開発や、燃料電池システムの導入・普及促進を手掛ける機関。
そこで教えてもらった、“ねんでん”の正体とは……。
次回、お話ししましょう。

取材・文:三上美絵 フリーライター。取材を通して自然環境問題に興味を持ち、エコ生活に取り組むも、撃沈した経験あり。一応、主婦でもある。本画像「有機野菜という選択〜今、なぜオーガニックなのか」西村晃、三上美絵、三上雅朗 出版社:きこ書房本画像、左「複合汚染」有吉佐和子 出版社:新潮社」 本画像、右「沈黙の春」レイチェルカーソン 出版社:新潮社

イラスト エコって、大変・・・

イラスト 
 
  イラスト ジェット機のエンジン・・・コレが家の隣に?
第一話 燃やさないエネルギー
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