山中コーチアメリカ研修

平素はインパルスに格別のご支援を賜り誠にありがとうございます。
ディフェンスコーディネーターの山中です。

私は現在(2月21日から4月26日までの期間で)、
アメリカのウエストバージニア大学アメリカンフットボールチームの春季練習に同行して、
ディフェンスのシステムを始め、コーチングやチーム運営等について勉強させていただいております。

こちらに来て約1ヶ月が経過し、何とかアメリカでも不自由ない生活が送れており、
自信というか「何とかなるな」という感覚が芽生えてきたところで、勇気を振り絞って散髪に行ったところ、
えげつない髪型にされて落ち込んでいるところです。
そんなことはさておき、こちらでの活動について、ご報告させていただきます。

まず一週目ですが、春季ということもあり、コーチの入れ替えやリクルート活動が頻繁に行われ、
チーム体制が不完全な状態で、何となく落ち着かない様子でした。
昨日まで親切に教えてくれていたコーチが急に次の仕事が決まったから今日からいないとか、
昨日面接に来ていた人が今日から正式コーチに就任している等、日本では考えられない事も起こります。
そんな中、まずはディフェンスシステムを把握する為、ミーティングの合間を利用して、
昨シーズンの試合をすべて観ることから始めました。
試合毎、サイン毎のVTRが整備されており、非常に便利でシステムの概要を把握するのにそう時間はかかりませんでした。

 ← VTRチェックの様子

 

アメリカではNCAAルールで、春季に防具をつけて練習できる日数が制限されており、15日間しかありません。
防具をつけての練習開始日が3月13日からで、それまでの期間、選手達はトレーニングを週5日間実施します。
その内2日間(火・木)は朝六時からフィールドトレーニング(走り込み)を約1時間実施しています。
朝六時から非常にハードなトレーニングをするわけですが、その様子はまさに軍隊です。
選手が手を抜こうものなら、コーチから容赦ない罵声が飛び交いますし、各コーチが持っている名簿にチェックが入ります。
そこに雰囲気を盛り上げる為の笑いや声出しのようなものもなく、チーム全体がそのメニューに対して厳しい姿勢で臨み、完遂させます。
インパルスもこの完遂=Finishということを非常に大切にしていますが、そのレベルは完敗と言わざるを得ません。
もともと能力の高い選手達が、高いレベルのトレーニングを高いレベルで完遂させるわけですから、高い競技レベルになるのは必然です。

 ← 朝トレは室内施設にて。うらやましい。

 

それに加え、朝トレ終了後には皆大学の授業に向かいます。授業の出席や態度についても厳しく管理されています。
そうしないとスカラシップ(奨学金)を受けられないということもありますが、まさに文武両道を実行しています。

朝トレがある日は、午後からも全体で集まります。
全体ミーティングにて、チームの精神についてコーチからプレゼンテーションがあり、
その後ポジションミーティングにてシステムやスキルについてインストールした後、
フィールドにて防具無しのファンダメンタルドリルを行います。
ここでも一つのメニューに対する選手の集中力や完遂力は凄まじいものがあります。
NCAAルール上、コーチが指導できるのはここまでで、その後選手だけでサインの確認をします。

 ← 午後は屋外フィールドにて。

 

全体トレーニングがない日は、選手達は授業の合間を縫って、ウエイトトレーニングを実施します。
その間、コーチ陣はシステムの整備や練習メニューなどをディスカッションします。
そこでプレー毎の詳細部分が決められていくわけですが、英語レベルが低いのでついていくのに必死です。

私が来てからこのようなサイクルが3週(WVUのトレーニング期間は7週間)ほど続き、いよいよ防具をつけての練習が開始です。
約1時間のミーティングを経て、30分のサイン合わせ(Walk Through)を実施した後、約2時間の練習が始まります。
内容としては日本で経験してきたものと変わりはありませんが、前述の通り、一つ一つの集中力・完遂力は素晴らしいです。
加えて、春季練習ではありますが、スターター・2本目とそれ以降の選手で、参加できるプレー数は平等ではありません。
3本目以降の選手達は数少ないチャンスを活かすためにファンダメンタルを含め、本当に鬼気迫る感がひしひしと感じとられます。

コーチ陣も集中して選手たちの動きをチェックし、問題があればすぐに指導に動きます。
アメリカのチームでは用具係(Equipment Manager)がいることは一般的ですが、
次にグラウンドのどこで、何の練習が実施されるのかがコーチ陣と密に連携されており、
その時間が来ると用具が準備されており、本当にテンポの良い練習ができている印象です。
一回の練習に対して、スタッフも含めたチーム全体が集中していることが肌で感じとれました。

練習終了後、コーチ陣は練習のReview(反省)をし、翌日朝6時からの選手とのミーティングに備えます。
そのサイクルが3回続いたところで、現在、約10日間のSpring Break(休み)に入ったところです。

Spring Breakを利用して、ペンシルバニア州立大学アメリカンフットボールチームの練習を2日間見てきたのですが、
やはり印象に残るのは「完遂=Finish」であり、テンポの良さであります。
もちろん両チーム共、システムやスキルの部分で参考になることはたくさんあるのですが、
本当に大事なものは何かということを改めて考えさせられます。

 ← ペン州立大練習風景@

 ← ペン州立大練習風景A

 

ウエストバージニア大学では週一回コーチ陣に対して、
同大学のFCA(The Fellowship of Christian Athletes engages coaches and athletes to grow in their faith and sport)という、
キリストの教えにより選手とコーチの信頼や競技の成長をサポートする団体の先生から話を伺う機会がセッティングされていて、
その中で印象に残ったことがあります。

「What is essential?(不可欠なものは何か?)」という問いに対する答えなのですが、それは「Believe(信じる)」だとおっしゃっていました。
特にこちらの選手達はチームやコーチ、そして自分自身を信じているからこそ、
何の迷いもなくトレーニングや学業に励むことができているのだと感じます。

残り1ヶ月(練習11回+紅白戦)となりましたが、できるだけ多くのことに気づき、吸収して帰ろうと思います。

 

P.S
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