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パナソニック インパルス:月刊HUDDLE MAGAZINE 2023年度 第3回

「月刊HUDDLE MAGAZINE」Vol.106 2023年5月号にて、OL #78 西村拓朗選手のインタビュー記事が掲載されました。

インパルスには上達するための見本が
とても身近にあります

OL #78 西村拓朗

桃山学院大学出身
パナソニック ハウジングソリューションズ株式会社
営業本部勤務

『一人のスターに頼らない全員フットボール』。2年連続ライスボウル進出を果たした強豪、パナソニックインパルスには創部以来貫かれている哲学がある。主力メンバーは大学時代の有名選手ばかりではなく、大学時代は無名だった選手が欠くことのできない存在へと成長を遂げている例も少なくない。2017年に関西学生ディビジョン2(当時)の桃山学院大から加入したOL西村拓朗は、当初はインパルスのレベルの高さに打ちひしがれながらも、周囲の期待に応えたいと努力を重ねて先発争いに名乗りを上げるまでに成長を遂げた存在だ。


—— フットボールを始めたきっかけを教えてください。

西村 高校時代はバレーボール部に所属していました。インターハイや春高バレーの常連である強豪チームで、バレーボール漬けの日々でしたが、その頃からトレーニングへの興味が強く、もっと身体を鍛えたいと思っていました。
その目的を果たすにはバレーボールはちょっと違うかな? と思っていたところ、高校の先生に『フットボールに挑戦してみないか?』と提案されたのがきっかけです。
私にとってフットボールは未知のスポーツでしたが、大学から始める人も多く、個々の適性に応じて挑戦できるポジションが沢山あると聞いて興味が湧きました。
身体が大きかったこともあって、桃山学院大学に入学してすぐにCのポジションに就きました。

—— インパルスとの出会いは?

西村 3年生の時に出場したニューエラボウルで声をかけていただきました。皆が同じ会社で働きながら日本一を目指せること、仕事もフットボールも100パーセントで取り組むというチームの姿勢に惹かれました。

—— 入部前、インパルスでの挑戦に不安はありましたか?

西村 大学時代にディビジョン1でプレーできたのは3年生の1シーズンだけでしたので、強豪チーム出身の選手が多い中で自分が通用するか不安でした。
ディビジョン2では自分より身体が大きい選手は少なかったので、フィジカルには自信を持っていました。しかし、インパルスに入部後すぐにスピードの違いに圧倒されました。
練習でDLと勝負しても、触れることすらできない。その頃は『入るところを間違えたかも…』と思いましたね(笑)。大学時代はずっとCで、Gでプレーするのは初めてだったこともありましたが、ステップなど技術面も大学とは全く違い戸惑いました。でも周りの選手は当たり前のようにできている。フィジカルだけでは通用しないことを痛感しました。
2年目にFB/TEにポジション変更を言い渡された時には、OLとしては無理だと判断されたように感じました。今はコーチの方々が自分の特長を生かそうとしてくれたコンバートだったと理解していますが、当時は試合にも出られず悔しかったですし、完全に自信を無くしました。しかし、辞めようとは思いませんでした。

—— 苦しい中でも、辞めたいと思わなかったのはなぜでしょうか?

西村全然できない私を、周囲が上手くなるように必死でサポートしてくれたからです。OL上沢(一陽)さん、阪口(友章)さんは練習の前後に時間をとって根気強く教えて下さいましたし、オフの日には動画を送ってアドバイスをいただいたこともありました。同期のOL髙森(恵太)はいつもアフター練習に付き合ってくれました。支えてくれた人たちを裏切れない、いつか恩返ししたいという気持ちで頑張ることができました。
オールXや全日本選抜レベルのお手本となる存在が周囲に沢山いることは、インパルスの魅力の一つですね。皆、チームメイトの成長のためには惜しみなく、協力してくれます。練習がない日も仕事が終わってから話ができたり、トレーニングルームで会えたりするのは、とてもありがたい環境だと思います。
3年目からもう一度OLとして挑戦するチャンスをいただき、試合にも出場できるようになりましたが、ケガにも悩まされ、まだインパルスに恩返しができていません。チームメイトはもちろん、荒木監督、応援してくれている職場の方々、期待してくれているすべての人たちのためにも、もっと活躍できるよう頑張らねばと思っています。

—— 仕事でフットボールの経験が役立つことはありますか?

西村 フットボールは目の前の課題を一つずつクリアしていくことの積み重ねでプレーが成立します。たとえば、仕事上で問題が起こった時に、どう解決すれば良いか、次からはどうすれば良いかを前向きに考える思考や、嫌なことから逃げない忍耐力はフットボールで培われたものだと思います。
職場の方々は、練習のある日は「頑張って」と快く定時で送り出してくれますし、試合にも応援に来てくれます。そういった方々に「フットボールだけ」と思われないよう、仕事でも全力を尽くしきちんと成果を出していきたいです。

—— 今後の目標を教えてください。

西村 人生で一度は日本一を経験してみたいですね。私が入社してからは日本一になったことがなく、過去2年間はあと一歩で日本一に届かず本当に悔しい思いをしました。自分自身、まったく活躍できていないので、今年こそ雪辱したいという気持ちで取り組んでいます。
入社以来、自分がもっと成長できるという気持ちは忘れたことがありません。会社の敷地内に専用グラウンドやトレーニング施設があり、頑張りたいという気持ちさえあれば自分の実力を伸ばせる環境がインパルスにはあります。これほど恵まれている環境で、社会人になっても好きなことで日本一を目指すことができるというのは、本当に幸せです。今の環境と状況に感謝し、日々成長していきたいと思っています。OLの先発として活躍し、チームの日本一に貢献することが今年の目標です。

Takuro Nishimura

にしむら・たくろう。1995年2月5日生。大阪商業大学附属高校バレーボール部を経て、桃山学院大学でフットボールを始める。大学では2年時からCで先発となりチームのディビジョン1昇格に貢献。3年時にディビジョン1を経験したが1年で降格となり、4年時にはディビジョン2でプレーした。2017年にインパルスに入団。これまで先発のチャンスを掴みながら負傷に泣いてきたが、7年目の今季はベンチプレス190キロを支えるパワーを武器に主力OLとして再び先発争いに挑んでいる。

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