ヨーロッパでビジネスを描く
BtoBソリューションデザイナー

写真:デザイナーが空港で飛行機をバックにした写真
パナソニックデザインヨーロッパ リードデザイナー 山本悠平
イギリス・ロンドンに位置するデザインセンターヨーロッパには、パナソニックのBtoB事業をデザインの領域から開拓するリードデザイナー山本悠平がいる。欧州を飛び回り、プロダクトデザインからデザインソリューション・デザインシンキングの幅広いスキルを活用し、様々な企業と協業し未来を作っているデザイナーだ。日本でのビジネスを進めるために一時帰国したわずかな時間で、ヨーロッパでの活躍やその志を聞いた。

―デザイナーになろうと思ったきっかけを教えてください

デザインの世界に足を踏み入れることになったのは、父の影響が大きいと思います。父自身がグラフィックデザイナーだったので、子供の頃から「デザイン」というものが身近に存在していました。

―入社以来、印象に残っている仕事は何でしょうか

入社から13年くらい、コンシューマー向けオーディオ商品のデザインをずっと担当していました。その頃の仕事が思い出深いのですが、とくに印象に残っているのがコンパクトオーディオH C シリーズのプロダクトデザインです。

  • 当時、内部の部品を変えないというのが設計の要望だったのですが、部品の位置や構造をゼロから見直すことことでものすごく薄くすることが出来ました。ファブリックやアルミといった素材の使い方や、設置される空間を徹底的に意識しました。おかげさまでこのコンセプトが評価され大ヒットしました。

    私の手を離れた今もシリーズは続いていて、いまではもう8世代目です。

  • 写真:デザイナーが以前手がけたコンパクトオーディオの写真

―現在の仕事について教えてください

いまはロンドンにあるデザインセンターヨーロッパに所属しています。

BtoBのデザインがおもな業務で、たとえば完成車メーカーに向けてソリューションデザインを提案しています。エンドユーザーが自動車を便利に楽しく利用できるようにするため、パナソニックの新しい技術+ デザインシンキングで完成車メーカーと共に未来の自動車を作っています。

写真:デザイナーが書類を持っている写真「―BtoBのデザインはBtoCとどのように違いますか

違いを特に意識しないようにしています。分野は違ってもデザイナーなので絵を描きながら考えることを繰り返しています。ただ以前よりもお客様の声を「聞く」ことに時間をかけるようになりました。お客さまの声をよく聞いてそこでスケッチや図を使って「こういうことですよね」と共有する、そしてまた「聞く」というプロセスを繰り返します。そうすると先が見えにくかったプロジェクトでも、だんだん前に転がりだしていきます。

自動車などは製品の開発スパンが3年から4年、時に5年にもなるので、このやり取りが長く続きます。家電では1年間で企画から量産まですごいスピードで到達していましたから、時間のかけ方には大きな違いを感じますね。

―その長いやりとりの中でポイントとなることは何でしょうか

相手の話している要望を理解するのは当然ですが、その裏にある「将来欲しいもの」をくみ取るのがポイントです。今ある技術や製品ならすぐに作れます。しかしお客様との会話の中からお客様も気づいていなかった「未来につながる新しい価値」を模索していきます。そういうお客さまの思いを「これとこれを組み合わせたらできますよ」とデザイナーの視点で翻訳し、パナソニック社内を巻き込んでいくのも大切な役割です。

写真:デザイナーがスケッチを描いている写真―これからパナソニックを目指したいデザイナーに一言お願いします

ものづくりに対する興味やこだわりでしょうか。
パナソニックはBtoBに力を入れていますので「ことづくり」をするサービスデザイナーが活躍する機会が多くなっています。しかし新しい技術を開発し、プラットフォーム・システムからハードウェアまで落とす「ものづくり」も当然続けています。その中でデザイナーとして活躍するためには、サービスデザインに加えてプロダクトやUX・グラフィックにも積極的に興味を持ち、「ものづくり」に落とせるデザイナーであってほしいです。

写真:デザイナーがソファに座っている写真―最後に欧州での日常について教えてください。

午前中は日本との連絡やミーティングが多いですね。それから国外のお客さまのところへ打ち合わせに出かけることもしばしば。ドイツをはじめ、欧州圏内はどこも2 時間程度の移動なのでほとんど日帰りです。東京、大阪間みたいな感覚です。このインタビューの後もロンドンに戻ったらすぐ、イタリアのデザイン事務所にプロジェクトの打ち合わせをしにいくのですが、これも日帰りです。トリノあたりでゆっくりしたいな、とも思うのですが(笑)。忙しくしています。