Panasonic ideas for life

Japan

サイト内検索

パナソニック・ホーム パナソニックの企業市民活動 > パナソニック NPOサポート ファンド > 助成事例レポート > NPO法人 登別自然活動支援組織モモンガくらぶ

NPO法人
登別自然活動支援組織モモンガくらぶ
松原條一(まつばら じょういち)さん、吉元美穂(よしもと みほ)さん

これまでの活動を記録化することで組織を見直し、活動を再認識できました

団体の活動概要ホームページに行く

2002年、北海道登別市のネイチャーセンターとして開設された「ふぉれすと鉱山」の活動を支援する市民団体として発足。各会員の特技を活かした自然体験活動プログラムの提供や人材育成講座の開催を実施し、その実績が行政にも認められ2007年度より「ふぉれすと鉱山」の指定管理者に選定。さらに地域づくりも見据え、自主イベントも含めて幅広い活動を進めている。

Panasonic NPOサポート ファンド 事務局より
 本助成に応募された2006年当時の団体は、行政が設置した野外活動センターの指定管理業務を翌年から受託するという転換期にあり、事業規模が飛躍的に大きくなることから、組織運営力の向上に迫られていました。
 応募案件の骨子は、組織の運営力を高めて行くことを目的に、理事やスタッフの研修を行ったり、会計システムを構築するという内容でした。これに対して、選考委員から出された採択条件は、登別市と築いてきた協働の軌跡を振り返り、これから指定管理者となる団体をはじめ、行政との協働で活動を展開する団体にとって参考になるブックレットのようなコンテンツをまとめることでした。助成事業に取り組まれた2007年は、指定管理者としての初年度で、担当の吉元さんには相当なご負担をおかけしたと思います。しかし、この制作プロセスが組織の歴史を振り返り、ビジョンや方針を考える上で大変役に立ったとの報告を受け、制作したブックレットが増刷するほど評判が良いことを聞いた時は、事務局冥利に尽きると感じました。
 組織基盤強化の取り組みは、成果を捉える視点が自団体の内面ばかりに向きがちです。しかし、その成果が他の団体、他の地域、他の分野にも波及するものであることは、助成事業の重要な社会的役割であり、その観点からも、モモンガくらぶの取り組みはモデル的な事例と言えるでしょう。
助成概要
事業名:
市民による自立した環境ガバナンスに向けた拠点(センター)運営のための組織基盤整備
申請の目的:
指定管理者受託にあたり、外部専門家をまじえての組織マネジメント力の強化と事業評価および会計システムの再構築。団体の沿革、活動実績、行政との協働の軌跡などをまとめた冊子制作と先進事例視察によるネットワークの拡大。
助成実施期間:
2007年1月1日〜2007年12月31日
助成額:
1,500,000円(事業総費用:1,500,000円)
助成で行った取り組み:
  • 理事向けのNPOマネジメント講座とアセッサーによる事業評価を行い、実際に2007年度の事業計画を策定。
  • 会計システムの講座の実施と実際の会計システムの構築。
  • モモンガくらぶのこれまでの活動をまとめたブックレット"MOMOスタBOOK"の作成。
  • 道内外の先進環境NPOや環境学習事例の視察。
NPO法人 モモンガくらぶ(北海道)事例レポート

 モモンガくらぶは、かつて幌別鉱山で栄えた登別鉱山地区を盛り上げようと、行政や市民の声で設立されたネイチャーセンター「ふぉれすと鉱山」の運営支援団体として設立されました。会員による自然体験活動の実績が認められ、2007年には指定管理者に選定。そこで、運営規模拡大に伴う経営や会計業務の見直しと組織基盤の強化が急務でした。指定管理者業務の初年度に、敢えて助成事業も実施してプレッシャーをジャンプ台に変えた理事長と事務局長にその経緯と成果を伺いました。

助成事業の内容と成果

●指定管理者選定に伴い、組織基盤の強化を図る

様々な自然体験活動プログラムを提供

 助成申請時の状況を事務局長の吉元さんはこう振り返ります。「『ふぉれすと鉱山』の指定管理者に決まり、従来のボランティア組織としての強みを生かして事業型NPOへ、組織も大きく変化を必要とする時でした。それに事業規模拡大に伴う事務局のプレッシャーも大きかったんです」。既存の活動自体は150名近いボランティアの協力を得て、プログラム提供から人材育成講座まで順調に実施していましたが、指定管理者になるとその事業規模は数百万円から一気に数千万円になります。運営体制はもちろん責任も大きくなり、会員や理事会のなかでも活動に対する考え方は十人十色でした。「そこで、これを機に外部の専門家の意見を聞きながら組織のマネジメント力、経営力、情報発信や収集力を高めようと申請を決めました」。申請した事業は、自立型環境NPOのマネジメント講座と事業評価の実施、会計システムの構築、そして先進事例の視察です。「しかし、申請後の面談でサポートファンドの事務局からこれまでの活動を冊子にまとめる事業も加えるようにと条件を出されました。結果的に、それが最初に申請した3つの事業の成果をまとめる形にもなり、組織自体を見直す機会にもなりました」

●外部の実務経験者を講師に組織と運営の見直しを実施

マネジメント講座と会計講座の様子

 マネジメント講座には理事4名とふぉれすと鉱山のスタッフ5名が参加し、事業評価と合わせて計10回実施しました。年間予算1億円規模のNPOの経営者を講師に運営コンセプトや次年度の運営計画などを徹底的に検討。同時に、組織図や活動形態、将来的な目標などの見直し、行動計画の策定とそれをPDCAサイクルで回すためのシステム作りなども行いました。会計システムの構築に関しては、外部講師のもとで経理の実務にあたる吉元さんと会計担当の理事およびスタッフが受講し、会計ルールの可視化を図りました。「同時に、新たな会計担当スタッフを雇用して細かな業務を分担できるようにしました。ただ、会計システムは扱う金額に対する処理よりもその組織にあった処理を的確に構築する方が大事で、その部分は自分たちで作るしかないということもよく分かりました」と、吉元さん。外部からのチェックを入れたお陰で、今までのやり方に自信が持てたようです。また、これまで予算と時間がとれずに実現できなかった他団体の視察は、吉元さんと専従スタッフの遠藤さんの2名が、それぞれ視察希望事例やセミナーをピックアップして延べ11日間、計15カ所をまわり、プログラム展開のヒントや活動のネットワークにつなげました。

●冊子制作によって、思いをかたちに

完成した冊子"MOMOスタBOOK"

 そして、一番苦労をしたのが冊子の制作でした。サポートファンド事務局からの条件は「行政との連携、指定管理制度への取り組みという問題を、これまでの活動を踏まえてまとめ、後進に伝える冊子として残すこと」。制作の担当は吉元さんですが、彼女が事務局スタッフとなったのは2005年のこと。「そのため、組織の歴史や思いは理事長に何度もヒアリングをし、マネジメント講座の成果も内容を詰めてまとめました。外部評価を入れたいという事務局からの話を受けて、活動を応援してくれている関係者にも原稿を依頼し、最終的にA4判36頁の冊子を300部刷りました」。理事長の松原さんは「助成によって、この時期にお互いが話し合う機会を得たのは大きかったですが、冊子制作がなければ組織図の検証まではやらなかったでしょう」と言います。「掲載した組織形態の変遷や事業系統図などはマネジメント講座の成果ですが、印刷して外部に見せられる形にするにはみんなで細かく点検して擦り合わせていく作業がとても重要でした」

 

助成事業終了後の波及効果

 結果として、助成事業は冊子という形の成果物となり、モモンガくらぶの活動を多くの人に知らせるツールとして現在も活用されているそうです。その後の活動や、組織の基盤強化にはどのような変化があったか、さらに伺ってみました。

●指定管理者選定に伴い、組織の見直しと強化を図る

 できあがった冊子は、会員や周辺のNPO、行政関連の方たちに配布され、予想以上の評価を得ました。市民活動を研究する大学教授は「現場に携わる人の視点でまとめた意義は大きい」と言い、会員も「モモンガくらぶってこんなに幅広い活動をしていたんだ」と自らを再認識。自信と志気の向上に役立ったそうです。また、今年増刷してからは1冊500円で販売もしています。「それだけの価値を認められたことが嬉しいです」という吉元さんは、その後さらに2冊の冊子も制作。ひとつはより一般に向けたふぉれすと鉱山の楽しみ方。そしてもうひとつは子育てをテーマにふぉれすと鉱山の活動や考え方についてまとめたもの。「自然という切り口だけでなく、子育て、スポーツ、福祉といった多様なキーワードでいろんな人が集まってくるといいなと思います」。冊子制作は、助成事業の成果だけではなく、ツールを使って情報を伝える広報の広がりにもなったようです。

●指定管理者に甘んじることなく持続可能な活動を

 組織基盤の強化に関する成果について、松原さんは「私たちは自主的なボランティア集団ですから、ぴしっと基盤を整えるのは難しい。多様な人が緩やかにジョイントして動いていくところが私たちの良さだからです。唯一、組織の軸である事務局さえしっかりしていれば大丈夫。そして、助成の結果、事務局がスタッフに伝える言葉が明確になったことは組織が育った成果だと思います」と言います。そして、現在の目標は活動の事業化。「ここで活動する人たちが独立して新たな雇用を生み出し、モモンガくらぶが中間支援組織として助成金を落としていく形が理想です。そこで、今年から上級者向けの人材育成講座を始め、人材バンクも設立しました。ここで育った人材で森づくり、地域づくりを進めたいですね」。組織の見直しによる活動への自信が、指定管理者に甘んじることなく持続可能な活動形態を模索する次のステップへの確かな踏み台になったと言えるでしょう。

(文:山崎 玲子)

パナソニック・ホーム パナソニックの企業市民活動 > パナソニック NPOサポート ファンド > 助成事例レポート > NPO法人 登別自然活動支援組織モモンガくらぶ