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『社会を変える』NPOの基盤強化をサポートします
Panasonic NPOサポート ファンド 2010年贈呈式・キックオフ研修会(2010年1月29日、30日)
さる2010年1月29日、東京臨海副都心にある「パナソニックセンター東京」において「Panasonic NPOサポート ファンド 2010年贈呈式」を開催しました。当日は、65名が参加し、選考委員長の総評や助成通知書の贈呈、交流会、ワークショップを実施しました。そして贈呈式終了後から翌日にかけて助成事業に取り組む希望者を対象に合宿形式の「キックオフ研修会」も併催し、初日から密度の濃い時間を共有しました。

第一部 贈呈式

当社企業市民活動の担当役員、大澤 英俊(おおさわひでとし)より、各団体代表一人ひとりに助成通知書が手渡されました

 第一部では、北海道から沖縄県まで全国から集まった団体の方々に助成通知書が手渡され、子ども分野および環境分野の各選考委員長より選考総評をいただきました。

 今回、子ども分野は応募総数169件の中から12件、1,500万円の助成が決定しており、そのうち4件(3件が2年目、1件が3年目)が継続して助成を受けます。環境分野は87件の応募があり、最終的に10件1,500万円の助成が決定しています。このうち2件は、今年新設した複数の団体で共通の組織基盤強化テーマに取り組む「コンソーシアム事業」として助成するものです。

選考委員長 総評

活動の使命をひと言で表現できるように

子ども分野選考委員長
明石要一氏(千葉大学教育学部教授)

 応募案件は一次選考で50件ほどに絞り、それを審査委員6名が6時間かけて検討していますが、年々応募団体のレベルが上がり、かつ拮抗しており喜ばしい限りです。NPOの活動にはミッション、ビジョン、パッションの3つが不可欠です。皆さんの応募資料ではビジョンに比べてミッションが弱い傾向がある。活動の使命を熟考し、ひと言で明解に表現できるようにしてみましょう。パッションの継続は、私たちも中間ヒアリングで後押しします。どうぞ、最後まで頑張ってやり通してください。

環境分野選考委員長
川北秀人氏(IIHOE「人と組織と地球のための国際研究所」代表)

基盤強化で組織間の連携も促そう

 基盤強化の第一の目的は組織の力を引き出すことですが、行政や企業、そして団体間の連携を促すことも重要です。そこで、今年から複数組織に対する「コンソーシアム事業助成」枠を設けました。ユニークな助成形態ですが、よい成果を期待したいと思います。市民活動に対する事業助成はこの15年で10倍に増えていますが、組織基盤強化に対する助成はまだ少ない。皆さんの成果を広め、さらに企業や自治体が基盤強化に資金やインフラを投資していただけるようになればと願っています。

 続いて、各団体から活動や今回の基盤強化事業の発表も。熱い思いが3分の持ち時間に凝縮されました。
 そして、取り組み発表の後には、子ども分野の協働事務局である市民社会創造ファンドの山岡運営委員長より「助成金は偶発的な支援性の高い資金ですが、本助成金で組織力をつけて安定した財源力確保につなげてください」と、また環境分野の協働事務局である地球と未来の環境基金の古瀬専務理事から「基盤強化の真の成果は成果物というモノではなく、それによって得た組織力だということを忘れずに頑張ってください」というメッセージをいただきました。

※2010年助成事業の応募状況、選考総評、助成事業概要、推薦理由等の詳細は、こちら。
子ども分野:http://panasonic.co.jp/citizenship/pnsf/ko_oubo.html
環境分野 :http://panasonic.co.jp/citizenship/pnsf/kan_oubo.html

第二部 交流懇親会 〜他団体、異分野と出会う場として〜

 第二部は、立食形式の懇親会。選考委員や一般参加の方、事務局のスタッフもまじえての交流会です。団体同士の交流、事務局スタッフとの連携もNPOサポート ファンドで大切にしている要素です。他団体、異分野の活動を知ることは、持続可能な社会の実現に大きな原動力となるはずです。

選考委員からのメッセージ

お互いに経験の交流を

子ども分野選考委員
特定非営利活動法人
日本NPOセンター事務局次長
坂口和隆氏

今日ここに集まった皆さんはそれぞれに得意分野をお持ちだと思います。ぜひ、お互いにその経験を交流させてください。そして、今年は、可能な限り基盤強化を優先して取り組まれてはと思います。必ずや後の飛躍につながることと思います。

多くの人が関わる場の提供を

環境分野選考委員
特定非営利活動法人
ユースビジョン代表 赤澤清孝氏

NPOは社会の課題解決自体も大切ですが、それに多くの人が関わる場を提供することも大きな役割です。組織のミッションを伝えながら、さらに同志を増やしていけるような視点も持って、基盤強化を進めていただきたいと思います。

第三部 セミナー&ワークショップ「組織の10大ニュースと戦略をつくる」

 第三部は、環境分野選考委員長川北氏による約2時間のセミナー&ワークショップ。NPOや市民活動は「社会を変える」ことが目的で、組織や事業はその手段にすぎません。しかし、事業や雇用者のために「組織を継続すること」が目的にすり替わっていないでしょうか? セミナーでは、そうならないための事業計画書づくりを行いました。

セミナー 『社会を変える事業計画書づくりのために』

  • ポイント1
    戦略と戦術は違う。細かな戦術の前に、現在・過去・未来の自分たちの活動を社会情勢も含めて考えて、大きな方向性=戦略をつくろう。
  • ポイント2
    「できることをできる範囲でやる」のではなく、活動を必要とする対象の数や状態、どう変化を与えれば社会が変わるのかを定量的に考えよう。
  • ポイント3
    NPOは、サービスを有償で受ける利用者、無償で受ける受益者、資金などを提供する支援者から成り、事業とは支援を効果的に受益者へ届けることと理解しよう。

 川北氏の講義のあとは、各自で多様な受益者、支援者を書き出し、どんな人が何人くらいいるか、過去にどんな活動を提供し、それを3年後にどうしたいのかを計画書に落とし込みました。「似たような団体とは、会員を奪い合うより互いの差別化を進めて、より特化したサービスを提供するほうが有益です」と川北氏。少子高齢化で支援者は減り課題は多様化する時代、他団体との連携強化は重要です。最後に、09年から12年までの団体の10大ニュースを書き出します。ニュース=社会的な変化=成果目標です。事業計画書の考え方で社会を変えるという、目から鱗の2時間でした。

贈呈式に参加して

銀杏の会
副理事長 相澤幸子さん
理事 鏡直子さん

 発達障害児の支援活動を始めて9年目です。相談の増加に伴い専門性のある人材育成が急務で、それに伴う組織基盤強化も重要です。ワークショップでは活動を多様な視点で考えること、受益者と支援者を整理して理解すること、そして私たちができることを改めて見直すべきだという言葉が心に残りました。

アースデイマネー・アソシエーション 事務局 冨山普さん

 地域通貨の普及活動をしていますが、中期計画と広報が今回の課題です。活動自体は時流に乗って順調に8年間続けてきましたが、その意義や目的を見つめ直す必要を感じて応募しました。ワークショップでは、ふだん考えていなかったことを整理して活動を内省し、それを形にするという大きな財産をいただきました。

 贈呈式終了後には翌日30日にかけて、助成事業に取り組む希望者を対象に合宿形式の「キックオフ研修会」も開催しました。泊りこみでの研修会はサポートファンド始まって以来の試みです。

キックオフ研修会「36カ月事業計画書をつくる」

 夢の島公園に移動した参加者は15団体29名。夕食後も大部屋にお国自慢のお菓子やお酒を持ち寄って深夜まで歓談が続きました。翌朝は8時半から事務局や団体間の軽いセッションが設けられ、9時より研修が始まりました。

ワーク1 「10大ニュース」を実現するための業務を考えよう

 最初に昨日の事業計画書を完成させると、午前中の残りの時間は「36カ月事業計画書」の作成。「10大ニュース」の実現に向け、事業計画を業務計画に落とす作業です。必要な業務を書き出し、資金や人員の調達、他団体との連携や人材育成などもタイミングを考えながら書き加えます。完成した計画書は全員で回覧し、気づいたことを付箋に書いて貼り付けていきます。講師の川北氏に加え、環境分野のテクニカルアシスタンス担当の藤沢氏と加勢氏も加わり、参加者にアドバイスを行いました。

目標を達成に導くために

テクニカルアシスタンス担当
株式会社RCF 藤沢烈氏

 まず、目標は具体的に。たとえば「効果的な、広報を、行う」と区切り、各文節を第三者に伝わるように定義する。数値目標を定めて事業成果を評価することも有効です。そして、思いついたことを何でもやるよりも、目標達成するための「成功のカギ」にアクションを集中させること。さらに活動の認知だけでなく、活動の価値を高めることも考えましょう。

テクニカルアシスタンス担当
NPO法人ETIC.(エティック)
加勢 雅善 氏

ボランティアにも権限と責任で組織基盤強化を!

 組織基盤を強化していく上で、新たな人材の活用というのは事業を展開・拡大をしていくために重要になってきます。その中で、インターンシップやボランティアといった、積極的で意欲的に関わってくれるみなさんに対しては、権限と責任を与えることで組織の発展に大きな力になってくれます。彼らを安い労働力として扱った瞬間に関係は崩壊し離れていってしまいます。彼らの目的を一度考えるとお金という縛りによって拘束することは難しく、彼らの社会に対する気持ちや、関わることの目的を理解し、活動から彼らの人生に意味深いものとなっていくことで長いつきあいになり、組織にとって大きな戦力になっていただけると思います。

資金を得ながら社会を変える活動のヒント

通常の活動を企業や行政に影響力のあるものに変えるには、
1.自らの活動分野の主な課題に対する企業・行政の取り組みを調査し、比較する。
2.調査概要をマスコミや団体のウェブサイトで開示し、社会的な関心を高める。
3.調査結果をもとに、企業・行政に有償の「報告会」や「勉強会」を開催する。
4.「本格的に取り組みたい」企業や行政に、予算を取って対策事業を実施する。

 これを繰り返すことで、資金も得ながら社会を変え、なおかつ企業や行政に影響力を持つことができます。声高に改善を叫ぶより、調査データを見せる方が企業は動く。社会を動かす道具をつくるという発想を持ちましょう。

ワーク2 仮想理事会で事業計画書を説明しよう

 後半は、テーブルごとに仮想理事会を開き、完成した事業計画書を説明します。各団体の発表持ち時間は10分、質疑応答は15分です。仮想理事は質問を付箋紙に書き、それに対する団体担当者の答えもそこに書き取って渡します。今日の成果に対する貴重なお土産となりました。

「キックオフ研修会」に参加して

北海道市民環境ネットワーク
 宮本尚さん、黒子奈美江さん、
北海道環境パートナーシップオフィス
 内山到さん

 北海道の環境系の市民活動に対する中間支援組織4団体でコンソーシアム事業助成を受けました。NPO・国・道・市の個別の活動を整理・連携して、より利便性の高い活動にするのが目的です。「事業計画書のなかにマイルストーンを置くように」と言われていましたが、この研修を通じてその設定が具体化しました。受益者、コンテンツ、システム導入など整理をして事業を進めたいと思います。(宮本)

 参加したことで事業の具体性が見えてきた気がします。これからつくるポータルサイトの構想にも事業結果が外部から閲覧できる機能も持たせたいと思います。(黒子)

 今回の研修で我々が取り組んでいる連携が、全国のモデルとなりうる可能性を持っていることが確認できました。4施設が一体となってできることは何なのか、役割分担はどう整理していくのかを、このプロジェクトを通じてわかりやすくアピールできるよう考えていきたいと思います。(内山)

フレンズ・ウィズアウト・ア・ボーダーJAPAN 濱崎直代さん

 カンボジアの子どもたちに医療を中心とした支援をしています。研修をもとに今後の事業計画も練り直したいと思います。まず現地法人の自立が目的ですが、その達成後の団体の活動や目的も考えなくては気づかされました。中間ヒアリングまでに、もう少し先の見える団体になっていたいと思います。

 29日の贈呈式から、30日のキックオフ研修会まで「助成事業のアウトプット、アウトカムの再認識」「成果目標・達成指標の明確化」「事業計画のマイルストーンの具体化」など助成事業のブラッシュアップをはかった盛り沢山の2日間。
 参加された皆様からそれぞれの団体の方にも共有いただき、成果をより大きなものにしていただきたいと思います。

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