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日本:2012 年度 パナソニック提供 龍谷講座in 大阪レポート 第7回

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公益社団法人日本国際民間協力会(以下、NICCO)事務局長を務める折居さんは、外資系企業を経て、NICCOの職員としてアフガニスタン、イラク、ハイチ地震の支援を経験し、2005年より事務局長として組織運営と若者の人材育成にも尽力してきました。NICCOは日本の国際援助団体の草分けとして、途上国の自立支援に尽くしてきたこと、東日本大震災の支援に従事したことが評価され、昨年、第18回読売国際協力賞を受賞しました。

第7回 「パレスチナでの収入創出支援の経験から」
日時:7月4日(水) 午後7時~午後8時30分
会場:龍谷大学 大阪梅田キャンパス 研修室
講師:折居 徳正
公益社団法人日本国際民間協力会(NICCO)事務局長 

―講座概要―
今回は、パレスチナのオリーブ農家で農産物を域外の市場に売り込む支援を行った経験をもとに、持続可能な支援のあり方について考えました。オリーブ農家の収入創出支援と一言でいっても、女性の貧困削減、有機農法技術移転、農業組合の設立や生産農家の能力向上、イスラエルを含む周辺国NGOや支援者、企業、行政間のオリーブの生産・販売のネットワーク形成など、内容は多岐にわたりました。そうした活動の中で、単なる販路拡大にとどまらず、最終的には地域の安定的平和を目指す今回のプロジェクトの成果と成功の要因についてお話しいただきました。


―パレスチナ・トバス地域におけるオリーブ農家支援プロジェクトの目的―
201208277.gifオリーブの発祥の地はパレスチナといわれ、6000年前からオリーブを栽培してきた歴史があります。しかしイスラエルとパレスチナ武装勢力との争いや、厳しい経済封鎖により新たな技術導入の遅れや販売網の縮小という環境下で、現在も多くのオリーブ農家は苦しい生活を強いられています。NICCOは、2004年よりヨルダンで実施してきたオリーブ農家支援の経験*をパレスチナ暫定自治区のトバス地域に導入し、オリーブの増産と品質の向上による農家の収入創出を目的としたプロジェクトを2006年より展開してきました。


パレスチナにおけるプロジェクトの目的は、零細農家の貧困救済、有機農業の技術移転、有機JAS認証取得、先進国をはじめとする国際市場への参入ですが、女性の自立や、多くの問題を抱え紛争の絶えないこの地域の安定的平和も重要な目的の一つでした。

 

 

* NICCOが確立したヨルダンにおける農業支援モデル(ジェラシュ県ブルマ地区8ヵ村の貧困農民約200世帯及びヨルダン農業省技官)の事業内容は、主に農業省技官の能力開発、有機生産物の生産から流通までのモデルケース策定、ヨルダンのオリーブ搾油企業との協力仲介、日本の専門家・有機JAS認証検査官の派遣調整、有機認証取得である。

―パレスチナの複雑な歴史的背景と西岸地区農家が抱える課題―
201208271.gif1947年、国際連合(国連)によってパレスチナ分割決議案が提出されたことを機に、イスラエルが建国を宣言しました。以後、大量のパレスチナ難民が発生し、現在440万人のパレスチナ難民のうち西岸には72万人が居住しているといわれます。平和交渉を進める動きがある一方、パレスチナ・イスラエルの双方で武力攻撃や自爆攻撃が繰り返されるのが現状です。
また、痩せて保水力が低いパレスチナの土地では、高コストの水資源への対応が重要なカギとなります。しかしながら、水資源はイスラエルにとっても戦略的に重要であり、水資源のある地域にイスラエル人の入植が進んでいるという現実があります。さらに、イスラエルの封鎖により移動が制限され、自由な経済活動に支障をきたしています。こうした状況を鑑み、NICCOのプロジェクトでは、低コストで高品質の農作物を生産できる節水型環境保全型農業の技術を移転し、日本人の有機農業専門家による有機農業技術を導入して、付加価値の高い商品の開発と市場拡大に向けた支援に焦点を当てました。


―プロジェクトの成果―
今回のプロジェクトの成果として以下のことがあげられます。第一に、高品質のエキストラバージン・オリーブオイルの生産に成功したことによって、イスラエルをはじめ、パレスチナ域外の輸出を成功させたことです。第二に、農家自らが品質管理をおこない、運営を行えるように農業組合(トバス聖なる木農業組合*)を設立した点。第三に、オリーブ石鹸の製造・販売を通して女性の収入創出を実現し、さらに女性が農業組合に加入するという画期的な試みが行われたこと。最後に、イスラエルの市民をはじめ、NGOや小売店による協力の申し出が相次ぎ、双方が市民レベルで信頼を醸成する機会が増えたことです。折居さんはプロジェクトが成功した要因を、「自立のためのシステムづくり」という出口を最初から見据えた点、地元に溶け込み同じ目線に立ち支援を行った点、ヨルダンなど中東諸国での活動の経験、日本の援助団体の透明性・中立性と信頼関係の醸成であることを指摘しました。
ここ数年、日本の国際社会における地位の低下が懸念されますが、国際協力・支援の現場で、その国や地域の人たちと同じ目線に立ち活動してきたことは日本の強みでもあります。今までのような経済大国が途上国を支援するという構図ではなく、日本の市民社会と途上国をはじめとする国際社会が持続可能な世界のありかたを共に模索し協働する方向へ転換しつつあるのかもしれません。

201208278.png* トバス聖なる木農業組合のウェブサイト 
 オリーブ農家支援から生まれたオリーブオイル"トバス・ナバリ"
 注文のお問い合せは、NICCO東京事務所まで


 TEL: 03-3221-5721 FAX: 03-5213-4875 Email: info@kyoto-nicco.org


 


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