Panasonic Corporate Citizenship News
パナソニック企業市民活動ブログ

パナソニックグループの企業市民活動、世界各地の事業場や社員の社会貢献活動リポートをご紹介します。

パナソニック・ホーム パナソニック企業情報 > CSR・環境 > 企業市民活動 >  パナソニック企業市民活動ブログ > 日本:2012 年度 パナソニック提供 龍谷講座in 大阪レポート 第4回

英語ブログ

日本:2012 年度 パナソニック提供 龍谷講座in 大阪レポート 第4回

201208272.png

第4回の講師を務める宮下和佳さんは、特定非営利活動法人関西NGO協議会を経て、2010年より認定特定非営利活動法人ソムニード(以下、ソムニード)の海外事業コーディネーターとして、JICA草の根技術協力事業「インド・ビシャカパトナム市近郊の低所得者を対象としたマイクロクレジット強化プロジェクト」*の現地業務調整員を務めました。帰国後はソムニード事務局長代行として、国内事務局の統括や海外事業の後方支援に携わっています。

*プロジェクトの詳細はJICAのサイトから閲覧いただけます。
 

第4回「インドから見る"援助"の現実」
日時:6月6日(水)  午後7時~午後8時30分
会場:龍谷大学 大阪梅田キャンパス 研修室
講師:宮下 和佳
認定特定非営利活動法人 ソムニード 事務局長代行

―講義概要―
今回の講座では、インドの女性たち自身によるマイクロファイナンス・プロジェクトの経験をお話しいただきました。ソムニードは国際機関・政府・NGOの援助によって"お客様"状態になっていた女性たちが、自分たちの力で「貧しさ」から抜けだすための助け合いの仕組みづくりを支援してきました。そうしたソムニードの取り組みについて学び、援助のあり方について考えました。 

―マイクロファイナンスの現実―
マイクロファイナンスとは、主に低所得者層に対し無担保で小口の融資を行う金融サービスの事です。1970年代にバングラデシュで生まれたグラミン銀行など、自営業や零細農家の支援手法として有名になりました。インドでもマイクロファイナンスを普及させようと、世界銀行などの国際機関からインド政府や州、そして地域で活動するNGOへと資金が流れていました。しかし「マイクロファイナンスを実施する」ことが目的化し、借り手の現実に即した融資が行われないことが多くみられます。中には、様々なマイクロファイナンスから次々にお金を借り、多重債務に陥るケースさえ起こっています。融資の対象は主に女性たちを組織化したSHG(セルフヘルプグループ)とよばれる自助グループですが、「自助」とは反対の、「援助」への依存心さえ生むようなことが行われていたのです。

―ビシャカパトナム市の低所得者を対象とした取り組み―
宮下さんが活動した地域は、インドのビシャカパトナム*市内のスラムです。ある地域の例では、平均月収が約2,700ルピー(約4,000円)といわれますが、多くの世帯は収入が不安定です。日雇い仕事や零細自営業を生業としている人が多いからです。そうした不安定な状況に置かれたスラム女性たちが、ビシャカ・ワニタ・クランティ(以下、VVK)という銀行を設立しました。VVKは会員の女性たちによる貯蓄や出資金のみを原資として、少額融資(マイクロクレジット)を会員向けにおこなっています。ソムニードは、彼女たちが自らの手でVVKを運営し、ひとりでも多くの女性たちに融資を提供できるような技術的支援を行い、まずは以下の4点を重要項目として、全会員を対象にマイクロクレジットを運営するための研修を実施しました。


① 自分たちで集めた会費や貯金を会員間できちんと貸し借りすれば、困っている会員が融資を利用することができるという仕組み
② 貸し借りのルール。たとえば取引の際には金額を明記し、必ずスタッフのサインを入れること
③ ローンの借り方
④ 家計が苦しくなる時期を予測して計画的に借り、返済する


当初、うまく進んでいるかに見えたプロジェクトですが、会員から集金したお金をスタッフが自分の財布に入れたり、会則を無視した貸し出しがなされているといった不正が発覚しました。ソムニードから、「自分たちで決めたルールも守れない団体(VVK)とはパートナーでいられない」と、支援の打の打ち切りを宣告されたVVK。話し合いを重ね、スタッフや運営委員が会員すべての家に戸別訪問して帳簿を再度確認し、研修も徹底して繰り返し何度も行いました。こうして再出発したVVKは、会員にルールを徹底させることによって貸出業務が早くなり、運営能力を向上させました。また返済回数を本人の能力に合わせることで資金の回転を早くし、必要とする人に融資がまわる体制が整いました。


こうした地道な作業により、VVKの貯蓄や融資の仕組みを理解した会員が増え、2010年度末の時点でVVKの会員数は1,596名(2007年度625名、2008年度555名、2009年度745名)、VVKが融資を提供した総額は152万6千5百ルピー(2007年度約58万ルピー、2008年度約92万ルピー、2009年度約110万ルピー、1ルピー=約1.9円)と大きく増加しました。こうしてVVKは会員数や融資額を大幅に増やすことに成功しました。
*インドのアーンドラ・プラデーシュ州。ベンガル湾に面した港湾都市。

―支援のあり方を考える―
2012082710.png宮下さんは、NGOが支援する上で大切なことは、文化も背景も異なる人たちに対して、同じ人間として対等感を持って課題の解決にむけて協働することだといいます。NGOが援助を永遠に続けることは不可能ですし、援助を受ける側も"お客様"であり続けることは問題です。支援の目的は"支援を必要としなくなる"こと。彼らがマイクロファイナンスを通じてお互いに助けあって豊かになっていく、そのための一助をすることがソムニードの考える支援です。

こうした「助け合いのための仕組みづくり」は、地縁血縁といった伝統的なコミュニティが衰退した日本でも、実は必要になってくる事かもしれません。


ページの先頭へ