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パナソニック提供 龍谷講座in大阪  2011年度 社会貢献・国際協力入門講座レポート

 

 

 

09162.jpg東日本大震災の発生からおよそ5カ月が経ちました。今回は、発生直後から現地で被災地支援を継続している二人の講師を迎え、現地の支援活動、復興の状況そして今後の課題も含めてお話しいただきました。折居さんは、海外における緊急災害支援や復興期の自立支援の経験が、日本での被災地支援でどのように活かされたのか、そして今回の活動で直面した課題についてお話しいただきました。末村さんには、阪神・淡路大震災の経験も活かされている、岩手県沿岸部の被災者を支援する「遠野まごころネット」の設立過程と取り組みについてご紹介いただきました。

 

 

12回「東日本大震災、被災地から伝えたいこと」

日時:83日(水) 午後7時〜午後830

会場:龍谷大学 大阪梅田キャンパス 研修室 

講師:折居徳正 

所属:公益社団法人 日本国際民間協力会 事務局長

   講師:末村祐子 

所属:被災地NGO恊働センター参与/大阪経済大学客員教授

  

受講者の質問に答える折居さん(左)と末村さん(右)

   NPO組織の情報媒体「メールマガジンNPO/NGO   

WALKER」発行

 

―講座概要―

 

過去の緊急災害支援の経験を活かす、NICCOの活動と今後の課題
講師:折居徳正
●東日本大震災におけるNICCOの活動
公益社団法人日本国際民間協力会(以下、NICCO)は、主にアジアやアフリカなどの途上国の災害や紛争、飢餓で苦しむ人たちの緊急支援と、早期の自立を見据えた活動を展開してきました。災害支援としては、阪神淡路大震災における被災者支援(1995)、イラン・バム地震緊急支援(2003)、インド洋大津波(スリランカ)支援(2004)、ミャンマー・サイクロン支援、中国四川地震支援(2008)など国内外を含む13の支援に携わってきました。


今般の震災では、震災発生の10分後に出動を決定し、3月13日には現地で被災状況や支援方法について調査を開始します。今までの海外支援の経験を踏まえ、現地では、医療支援(巡回診療、心理社会的サポート)避難所生活の改善のための物資提供やインフラ整備、炊き出し、ボランティアによる掃除とがれきの撤去、ペストコントロール(防疫処理)を中心とする支援活動を継続しています。


●国際NGOの経験を活かした緊急災害支援、行政との連携をどのように進めるのか
途上国で支援活動を行ってきたNGOは、公共交通機関、通信、電気、水道等、基礎インフラが十分でなくとも活動できるノウハウがあります。また行政が機能不全のなか、独自にニーズを調査して、シェルター、物資配布、保健医療、水・衛生、教育、仮設住宅、産業復興を進めるにあたり、被災後に段階を追って必要となる支援内容を把握しており、独自に事業を展開するロジスティック能力と専門性を備えています。今回は、NICCOが途上国で培ってきたロジスティック能力と医療や害虫対策といった専門性を被災地で活かすことが出来たと考えています。特に震災発生当初は、燃料物資の供給網が完全に断たれていた状態であり、物資の運搬や支給を行うための高いロジスティック能力が必要となりました。 

しかし、行政が機能し国が支援の指導的立場にある今般の震災では、NGOと行政の連携不足が問題となります。日本ではNGO/NPOは行政からの信用度が低く、単なる集団ボランティアと同じくくりとなります。海外支援で培った組織力や専門性を当初から十分に活用できたとはいえません。こうした事態は、我々NGO側が、平時から日本の行政と十分な信頼関係構築のための努力を怠ってきたことが一因でもあります。海外支援の際は、現地の行政が機能不全である場合がほとんどであり、国連をはじめ、他の国際NGOと援助調整会議の場を設定します。ここで援助調整機能が働くわけですが、日本では行政が単独で機能しており、各セクターとの情報共有や調整の場が設けられませんでした。中央省庁、NGO/NPO、地方行政、企業といった各セクターが集い、災害発生当初から援助調整を行っていれば、より速やかな支援体制が整ったと考えられます。また、行政が主導する決定プロセスの場に、企業やNGOのリソースを十分に取り入れることが出来なかったことも、今後改善する必要があるでしょう。

阪神淡路はボランティア元年といわれていますが、今回はNGO/NPOの活動とその存在意義が日本の社会に定着する一つの契機になるのではないかと考えられています。

「遠野まごころネット(遠野被災地支援ボランティア)」の取り組み
講師:末村裕子
●設立の経緯
遠野市被災地支援ネットワーク「遠野まごころネット*」(以下、まごころネット)は、東日本大震災で被災した岩手県沿岸部の被災者の方々を支援するべく、遠野市社会福祉協議会(以下遠野市社協)と遠野市民の連携のもとに結成された災害ボランティアセンターです。発生直後、沿岸部釜石の隣、大槌町では津波による被害に加え火災が発生、山へと火が迫る中、若い職員がたった一人で遠野市役所に支援要請に駆け込んだと聞いています。情報網が絶たれ状況がつかめない中、社協や民間も縁の深かった人・場所を手掛かりに各々独自に支援活動を開始しました。次第に被害が広範に渡り甚大であることが明らかになるにつれ、団体個別の活動ではなく、社協も市民も連携した活動の必要性を痛感したところから、ネットワークで支援に取り組むことを考えるようになり、阪神淡路大震災の経験を学ぶことを含め、特定非営利活動法人CODE海外災害援助市民センター・被災地NGO協働センター*へ立ち上げ支援の要請を行いました。

災から約1週間後、社協、市会議員、市民やNGO/NPO、JC(日本青年会議所)ら、日ごろ遠野で活動する関連団体と、被災地NGO協働センター代表村井雅清氏らが集い、阪神淡路大震災の知見を得て、社協と民間の連携型災害ボランティアセンター「遠野まごころネット」が設立され、行政と民間の連携型ボランティア組織の設立に至りました。

●阪神淡路大震災の知見を活かしたまごころネットの活動
まごころネットは、他のセクターとのネットワーク形成や、官と民の連携促進を進めてきましたが、全員で状況を把握し情報を共有することを大切な指針として活動してきました。毎日ミーティングを行い、刻々と変化する被災地や支援の状況について情報を共有し、皆で話し合いを重ねます。ここでは、災害救援から現地の復興支援、そしてその先にある「地域の姿」についても議論が行われました。緊急支援の先にあるのは、「もとの状態に戻ればよい」ということではなく、将来の日本の在り方を示すものであるべきとの考えからです。日本は人口減少や格差といった構造的課題を抱えています。

こうしたことを見据え、解決の糸口を提示するような地域の復興の姿が求められます。そこでまず提示されたのは、自然と共存し産業の復興を進めていくという大きなビジョンです。まごころネットはこのビジョンを中核として段階を経た支援活動を進めてきました。

09161.gifまごころネットは、これまで県国内外からの人材の受け入れと沿岸地域への派遣(宿泊と移送)、多様な資源のネットワークを活かし、避難所に限らず在宅避難者の支援、そして、物資経済からゆるやかな貨幣経済への移行と促進、企画・イベントの実施や郷土の文化を護る取り組みを通じたコミュ
ニティ再興の支援などで、後方支援の役割を果たしながら、現地へのボランティア派遣調整をはじめ、官・民、各セクターとの連携の多様な在り方を提示しました。

こうした動きは阪神淡路大震災以降の経験も手伝って実現した時代の進化です。ですが、後方支援者が常に配慮しなくてはならないのは、時間と共に支援内容が刻々と変化する現実を敏感に読み取ることです。

 

震災から5か月を経た今後は、まごころネットの各幹事団体や構成団体の関係性を再確認し、各セクターとの効率的な連携の促進を進め、情報の共有だけでなく政策提言プロセスでの役割を担うことなども必要となってくるでしょう。


講座後半は、末村さんから遠野まごころネットの取り組みをご紹介いただきました。まごころネットが
立ち上げから救援段階において、多様な団体によるネットワーク型運営でひとつの役割を果たしてき
たことを学びつつ、受講者の皆さんが、東日本大震災の復興過程を「自分のこととしてとらえ、取り
組んでいく」ことを考えていただければとのメッセージでした。

講座後半の質疑応答の際には、受講者から多くの質問が寄せられ、講師の先生方と問題意識を共有しました。その一部を紹介いたします。

質問:企業セクターは十分に機能していたのか。
回答:企業の貢献は、寄付だけではなく本業を活かした支援、社員のボランティア派遣にまで踏み込んだ。
本業のところでも本当に早い復興がみられ、これも大きな貢献であったと言える。企業のリソースを
上手に展開した例も随所にみられる。(折居さん)

質問:多くのNGOのイニシアティブはどこがとるのか。
回答:海外の途上国の緊急支援では、国際機関が調整役となり、NGOが協議する場が設けられる。NGOのような市民社会組織の活動は、一つの団体がイニシアティブを取るというよりも、自由に意見を出し合う中で、各組織が相互に合意して決定を行って行くものだと考えている。(折居さん)

質問:GWに東北地方への旅行を計画したが断念した。再興のために観光旅行をすることは、現地ではどのように受け止められているのか。
回答:経済の復興に向けて、観光産業に寄与することは歓迎される面が大きいと思う。(折居さん)
出かける場所によってはボランティア活動に時間を充てる配慮や、旅行ならではの現地の人との縁の紡ぎ方を考えるのもよい。(末村さん)

質問:関西に住む人間として今後どのように関われるだろうか。
回答:被災範囲が広範であるため、がれきや汚泥が残っている。場所によるがボランティアの力を借りながら撤去
していく必要がある所もある。仮設住宅や遠方に避難している被災者については、より継続的で細や
かな支援が必要になるだろう。(末村さん)   
 


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