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パナソニック企業市民活動ブログ

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パナソニック提供 龍谷講座in大阪  2011年度 社会貢献・国際協力入門講座レポート

matu3.jpg第3回の講師は、第1回の講座(5月11日)と同じく、特定非営利活動法人AMネット(以下AMネット)で理事を務める神田浩史さんです。
AMネットは、WTO(世界貿易機関)などの目指す貿易・投資の自由化について、政策提言を行うNGO(非政府組織)です。

第3回 「格差ってなに? 私たちに何が出来るの?」
日時:5月25日(水) 午後19:00〜午後20:30
会場:龍谷大学 大阪梅田キャンパス 研修室 
講師:神田 浩史
所属:特定非営利活動法人 AMネット 理事
特定非営利活動法人 AMネット 

神田さんは、大学で教鞭をとる傍ら、AMネットの活動と並行して、特定非営利活動法人泉京・垂井理事、西濃環境NPOネットワーク副会長を務め、ODA(政府開発援助) 政策やグローバリゼーションに関する調査、研究を行っています。

 ―講座概要―
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今回は、第1回目のテーマに引き続き、私たちの日々の暮らしが世界にどのような影響を与えるのか、そして、そこから生じるさまざまな「格差」について講義がおこなわれました。
後半は、前半の講義をもとに、南北問題、環境問題といったグローバルな課題の解決に向けて「私たちに出来ること」を実現可能性とその効果という二つの視点を軸にワークショップ形式で議論しました。
最後にはグループ内で集約した意見を受講者全員に向けて発表し、私たちが住む日本や地域の問題に引き付けながら、南北の格差、日本の課題について考えてみました。

輸入依存に潜む格差問題 
格差が生じる背景の一つには、急増する飢餓人口があります。世界には、すべての人を養える穀物があるにも関わらず、飢餓人口は近年増える傾向にあり、WFP(国連世界食糧計画)ハンガーマップ*をみると、飢餓で苦しむ国々は アフリカ諸国に集中していることがわかります。その一方、BRICs諸国で中国に次ぐGDP成長率を誇るインドでも2億人が飢餓のリスクを抱えており、目まぐるしい経済成長に伴う右肩上がりの数字だけでは格差・貧困問題の根本的な要因が簡単には把握できないことが見えてきます。
こうした食料情勢を背景に、先進国諸国の中でも食料自給率が最も低い日本がTPPに参加すれば、自国の食料自給率は40パーセントから14パーセントに下がると予想され、国内の農業問題に留まらず、世界各地で飢餓や貧matu5.jpg困を引き起こす要因にも繋がるといわれます。さらに、輸入依存は食料だけではありません。
農産物・畜産物の生産に要した水の量(ヴァーチャルウォーター)は年間800億立方メートルにのぼり、2005年のデータによると日本の年間水道使用量の約8倍にあたります**。こうした数値は、水資源に関する潜在的な問題を示しています。 
また、資源消費格差についても考慮する必要があります。地球温暖化の原因といわれるCO2排出量は一つの事例にすぎませんが、国別一人当たりの排出量をみると、上位をG20の先進国諸国が占めていることが分かります。
温暖化に伴う気候変動は、洪水、渇水を引き起こすことが予想され、当然ながら農作物の収穫にも影響を与えます。つまり、食料や水の輸入に潜む南北の格差問題に大きく関係することが指摘できます。
* WFP(国連世界食糧計画)ハンガーマップ 
** 環境省ヴァーチャルウォーター

                            
                         
地域から取り組む格差の課題 −ワークショップの議論− 
上述した問題を踏まえ、各グループから解決策として挙げられた提案の多くは、地域生産地域消費(地産地消)の推進でした。あるグループでは、地産地消は、フードマイレージ*の観点から考えると、輸送にかかるエネルギーを削減し、そのエネルギー自体を排出削減可能なCO2と見なすことができ、またヴァーチャルウォーターの観点からは生産国(輸出国)における水の大量消費、水資源の枯渇化を防ぐための消費者マインドを作り出すとしてその重要性が議論されました。
また、私たちが住む大阪は、食料自給率が2パーセントといわれ、水資源も琵琶湖の資源に頼っています。このことは、食料や水の輸出入という問題が、国家単位だけのものではなく、流域単位で地域に関わる問題であることも話し合われました。
さらに、京都議定書の温室効果ガス排出削減目標(6%減および中期目標25%減)や世界同時不況後のグリーン・イニシアティブ(産官の連携による省エネの実現を目指して経済産業省が打ち出した構想)から、事業者側が積極的に省エネ商品を通じ、カーボン・オフセット**に取り組む動きも見受けられ、環境に関する企業の社会的責任(CSR)の実践やその意義についても発言がありました。

国際貿易の視点からは、フェアトレード団体***によって、従来の購買物流、製造、出荷、販売のバリューチェーン(価値連鎖)に、弱い立場にある生産者や労働者の生活改善と自立という、新たな付加価値を与える運動も成果が期待できるとする意見が出されました。

* 農林水産省 フードマイレージ
フードマイレージ・キャンペーン
** 環境省 カーボン・オフセット
*** 特定非営利活動法人 フェアトレード・ラベル・ジャパン

ワークショップを振り返って
南北の問題は、跳ね返る形で日本にも大きく関わってきます。
すなわち、海外への林産物や食料の依存は、国内の林業・農業の衰退を引き起こします。
日本では、耕作放棄地が水域の中流地域にある農村にまで及んでおり、このことは、上流の森林による緑のダム機能に加え、中流地域の水田によるダム機能の低下を招いていることを示唆します。
神田さんは、こうした問題が私たちの水環境にも影響を及ぼす可能性があることから、流域単位で地域社会を捉えることの重要性も合わせて指摘されました。
ワークショップでは、グローバル化、ボーダレス化に伴い、持続可能な社会に向けて私たちが出来ることを話し合い、ごみの分別やリサイクルの徹底といった身近な問題から、エコ製品や太陽光発電の普及、地産地消を実行するため日本の農業政策を見直すといった政策分野に踏み込むものまで、様々な提案が出されました。
自発的にこうした講座や話し合いの場に参加し、一社会人、一市民として意見を出し合い、問題意識を共有することは、以前は遠く感じていた“地球規模の課題”の解決に向けた第一歩といえるのかもしれません。 



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