2018年度ティーチャーズセミナー ~岐阜大学教育学部~

学び支援

2019.04.02

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大学生が授業作りに挑戦

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パナソニックでは、2015年に「オリンピックとパラリンピックを題材とした教育プログラム」を独自開発し、学校への提供を開始しました。また、2016年度からは、新たに学校での教育活動を支援する教員向けの研修「Teacher's セミナー」をスタート。

今回は、岐阜大学教育学部の学生を対象に「カリキュラム論」という講義の一環で「未来の社会を担う子供たちを育てる授業づくり~岐大教育学部の学生がオリパラ教育をとおした模擬授業~」を岐阜大学教職大学院 三島 晃陽 准教授にご実施いただきました。以下、詳しく紹介していきます。


《概  要》

実 践 者:岐阜大学教職大学院 三島 晃陽 准教授

講 義 名:「カリキュラム論」 未来の社会を担う子供たちを育てる授業づくり

活用プログラム:オリンピックとパラリンピックを題材にした教育プログラム

プログラム①「大会の意義とそれを支える人々」
プログラム②「多様性と国際理解」
プログラム③「テクノロジー&イノベーション」
プログラム④ 「多様性と共生社会」

日    時: 2019227() 8451200

場    所: 岐阜大学教育学部

者: 岐阜大学教育学部 3年生 教員259                              


岐阜大学教育学部では日々、教員の卵である学生がそれぞれの講座(専門)を基盤に教育について学んだり、模擬授業を行ったりしています。今回は、各専修のグループが授業づくりを行いたいプログラムを選び、12週間の期間で1つの授業をつくりました。今回はその集大成である模擬授業の様子を御覧ください。

◆数学教育講座・保健体育講座:プログラム①「大会の意義とそれを支える人々」

この授業では「児童の思考を考え、つまずきがないよう丁寧な授業展開」を意識していました。まず、先生役の学生がオリンピックとパラリンピックのイメージ動画を見せ、「大会中におこる交流は選手だけなのかな?」と問いかけて生徒役の学生へ、大会に関わる様々な人に意識を向けさせました。その後、「大会に関わる人々」と題してイメージマップを書かせ、全体で意見共有しました。生徒役の学生からは以下のような意見がでました。

・思ったよりもたくさんの人が関わっていたことに気づけた

・会場の設営、運営などたくさんの人が「支えている」ことがわかった

 三島先生からは「イメージマップのワークで意見がでた(支える役割の人)を事後の授業で実際に教室に招き、生徒がインタビューするなど、こんな人になりたいという機会を提供することで、キャリア教育にもつながる」とコメントがありました。

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◆心理学講座&教職基礎講座:プログラム②「多様性と国際理解」

この授業では「おもてなし」という漠然とした言葉の定義を、授業冒頭で考えてもらい共通認識を持たせてから、授業展開を図るという丁寧なものでした。まず、「海外の人が日本に来たときに困ることは?」と問いかけ、海外の人が日本に来て困らないように対応することを「おもてな」として定義しました。「困る=違いがある」ことに着目し、「日本語がわからない人たちへの対応」について話し合い、以下のような意見がでました。

・レストランなどは多言語表記にする必要があり、アプリなどを準備すること

・文化など言葉では伝わりづらいものはマークやイラストにすること

三島先生からは「多様性・国際理解は子どもたちが未来で必ず対応が必要となり、そのような社会の動きを常にキャッチし、今回の授業のように題材として投げかけられるような教員になって欲しい」とコメントがありました。

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◆国語教育講座&社会科教育講座:プログラム③「テクノロジー&イノベーション」

授業では「翻訳技術の使いみちを考える活動を通して、オリパラと技術革新がむすびついていることに気づく」ということを念頭に授業を工夫していました。

 大会を通して「新幹線」「カメラ」「SNS」などの技術革新があり、それが与えた「移動や情報伝達、大会の観戦スタイル」の社会変化を例にあげた上で、東京2020大会で必要な「翻訳技術」を中心に企画ワークを行いました。生徒役の学生からは以下のようなアイディアがでました。

・レストランやバスでの小型マイクで瞬時に日本語に通訳するデバイス 

・駅や地下など地図アプリが機能しない場所でも看板や表札などすぐに翻訳できるアプリ

三島先生からは「技術革新と社会変化など、現代の社会がもつ課題とつながる題材であり、子どもたちに未来を考える機会を与えることはとても重要」とコメントがありました。

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◆特別支援学校教員養成課程・英語教育講座プログラム④「多様性と共生社会」

この授業では「共生社会について身近な例を通して子どもたちに考えさせる」ことを念頭に授業を実施していました。まず、「社会にはどのような人がいる?」と問いかけて、年齢や国籍、宗教、障がいの有無など、様々な「違い」のある人が生活していることを確認しました。次に、身近な人々との「違い」に対して自分だったらどう対応するか、障がいのある方や高齢者、旅行客などケース別に道案内の方法を考え実践するロールプレイングワークを実施しました。

・視覚障がいの方への対応:駅まで案内し、そこからは駅員さんや他の人に頼む 

・日本語がわからない海外の人への対応:ボディランゲージや目印のモノで伝える

三島先生からは「教員になるとクラスの中にある様々な子どもたちの「違い」から日々いろいろな課題が発生するが、それを生きた題材として子どもたち一人ひとりの学びにつなげてあげ、集団の中で自分に何ができるかを考えさせる事が教員の役割として重要だ」とコメントがありました。

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◆教員養成課程での題材【で】教える授業づくり経験の重要性

今回ご協力いただいた三島先生からは今回の実践の教員養成課程での重要な要素として以下を挙げていただきました。

・異なる講座の学生達が教科特性を活かし、学びを作り上げる教科等横断的な「協働」の経験

・同じテーマの学びを「協働」で作ることで、自分の専修の専門性・独自性に気づく機会

・社会課題などの広いテーマを通して「自分は何を伝えたいのか」という教育観を育む機会

また、もっとも重要なこととして「これまで行われているような「教科書を教える」学びから、今後は「教科書や題材で教える」学びに移行していく必要があり、今回の経験を通して学生が教員になったときに思い出して実践してくれるきっかけになってほしい。」と言葉をいただきました。

ご協力いただいた三島准教授、岐阜大学教育学部の学生の皆様、ありがとうございました。パナソニックは今後も教材の新しい活用の可能性を探ってまいります。

<関連サイト>

パナソニックのオリンピックとパラリンピックに関する教育支援

http://www.panasonic.com/jp/corporate/sustainability/citizenship/child/education.html

動画でわかる「教育プログラム」概要

http://channel.panasonic.com/jp/contents/17959/