日本:検証授業 ~近畿大学附属高等学校~

学び支援

2018.08.09

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 パナソニックでは、2015年に「オリンピックとパラリンピックを題材とした教育プログラム」を独自開発し、学校への提供を開始しました。

今回は、近畿大学附属高等学校の高大連携による7ヵ年教育の「大学進学コース」「英語特化コース」2年生での実践事例です。「英語特化コース」では「オリンピック・パラリンピック」を題材に、生徒たちの「グローバルな視点・経験」を活かした実践を行っていただきました。以下、詳しく紹介していきます。


《概  要》

―実施プログラム: オリンピックとパラリンピックを題材にした教育プログラム―

プログラム① 「大会の意義とそれを支える人々」

プログラム② 「多様性と国際理解」

プログラム④ 「多様性と共生社会」

日    時:(1~4時間目)  2017年7月24 日(火) 

実  践 者: 近畿大学附属高等学校 青山 祐子 先生 はじめ 2年生担任の先生方

教    科: 「群別学習」  ※コース別のオリジナルカリキュラム

対    象: 高校2年生 11クラス420名


■英語特化コースで育成している「コミュニケーション力」

近畿大学附属高等学校の「英語特化コース」では、生徒に本物のコミュニケーション能力と 英語力をつけるために、入学して3ヶ月のタイミングで「マルタ島」へ子どもたちを修学旅行 につれていきます。英語は「教科」ではなく、「コミュニケーションツール」であることを 強烈に体験させることで、そのあとの英語の学習を通して3年間で生きた語学力、コミュニケ ーション力を育成しています。 今回は、プログラム④「多様性と共生社会」を中心に詳しく紹介いたします

■パラリンピックは見られている?見られていない?

プログラム④「多様性と共生社会」はパラリンピックを題材として、共生社会の実現について考える授業です。

導入の「パラリンピックを見たことある人?」という青山先生の問いかけに、挙手をした生徒は少数でした。

「パラリンピックがオリンピックに比べて見られていない原因は何だと思いますか?」という問いかけには

「メディアがあまりとりあげていないかも」「放映されている機会も少ない」など個人の興味だけでなく、社会的

な要因についても話がでました。

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■社会にいる様々な個性の人々

次に社会には障がいの有無だけでなく「宗教」「服装」「身長」など、いろいろな個性があり、また多様であることを確認しました。

先生から、今の社会は個性によって不都合に感じることがあるかもしれないと投げかけ、少数派の左ききの生徒に不都合だった身近な体験がないか意見をもとめました。左ききの生徒は「スープをすくい、そそぐためのレードルは、そそぎ口が右利き用に作られているから非常に使いづらい」と体験を話しました。それを聞いて、大勢の右利きの生徒は「考えたこともなかった」という様子で、個性と環境・社会との差(ギャップ)によって不都合なことを経験している人がいることを実感している様子でした。

青山先生からあらためて、意識していないと見えないことがあること、またいろいろな個性の人が生きやすく、そして「活躍」できる社会にしていくことを考えてほしいと伝えました。

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■みんなが生きやすい社会ってなんだろう?

社会には様々な個性の人がいることを話し合った後、違いを踏まえた上でのコミュニケーションについて考えました。先生は、以前、車椅子の人が苦労して坂を登っているところに遭遇し、「お手伝いしましょうか?」と声をかけ、断られたが「何もしないよりも声をかけてよかった」と自分の経験を話し、生徒たちに自ら行動に移す事を意識してほしいと伝えました。

そのあと、障がい者と健常者がともに働く現場の例として「パナソニック吉備」の映像を視聴し、生徒たちは共生して働く上でどういうことに気をつけているのか、映像から読み取りました。

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■みんなが住みやすい社会の実現のための課題「アレンジ」ワーク
  ~近畿大学附属高等学校、八戸ノ里駅までの道のりで足りないことはなにか?~

最後に、今まで実施したプログラム①、②、④で学んだことを振り返り、各プログラムで様々な人が異なる役割やバックグラウンドをもって、「協働・共生」していることをおさえ、身近な場所の課題抽出と、改善できる点はないかを考えました。

「学校内」、「通学路」の2つの場所を考え、生徒達は学んできた視点を活かし「海外から来た人にとって」、「障がいのある人にとって」何が足りないか、どうなっているといいかを話合いました。生徒達からは「高校には英語に対応したサインやアナウンスが足りない」という意見や「通学路の交差点の点字ブロックが剥がれているところがあり、整備が行き届いていない」などの意見が出されました。生徒からは、「他の生徒が意識して見ている箇所を自分は見ていなかったのですごいと思った」という感想が出るなど、新たな視点を得た生徒もいました。

■宣言シート:「わたしは2020年にむけて〇〇をします!」

最後に、2020年に向けて自分たちが行いたいことを宣言シートに記入しました。海外に興味を持った生徒は「海外の人のことを調べ宗教について知る」や、障がいのある方への接し方を考えていた生徒は「困っている人を見つけたらまず声をかける」など、グループで各生徒が興味・関心のある事柄について2020年に向けて行うことをお互いに宣言しました。宣言する姿をお互いにタブレットで撮影し、教室に掲示して自分の宣言した内容を生徒たちが見えるようにする予定です。

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青山先生からは「このプログラムをきっかけにまずは周りに目を向けるということを生活で意識して、周囲への感謝につながれば嬉しいです」と声をいただきました。授業を実施してくださった青山先生、近畿大学附属高等学校の生徒のみなさんありがとうございました。今後も当社のオリパラ教材を活用した様々な実践事例を紹介していきます。

<関連サイト>

パナソニックのオリンピックとパラリンピックに関する教育支援

http://www.panasonic.com/jp/corporate/sustainability/citizenship/child/education.html

動画でわかる「教育プログラム」概要

http://channel.panasonic.com/jp/contents/17959/

パナソニックの企業市民活動

http://www.panasonic.com/jp/corporate/sustainability/citizenship.html

パナソニックセンター東京の「オリンピックやパラリンピックに関するイベント情報」

http://panasonic.co.jp/center/tokyo/event/all/index.html#alc